研究課題/領域番号 |
23530699
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研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
古田 睦美 長野大学, 環境ツーリズム学部, 教授 (60278166)
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キーワード | ジェンダー / 地域 / 女性 / 社会学 |
研究概要 |
24年度は、予定通り海外調査、および、国内調査を行った。 海外調査は、当初の計画どおり生活時間のタイプにおける西欧型を代表するオランダでの調査を行った。女性センターでの情報収集やヒアリング調査もでき、ジェンダー間の家事育児の分担や労働時間にかんして、たいへん典型的ともいえる特徴を見いだすことができた。また、その結果を女性政策に生かすための政策担当者、および、女性労働担当の女性議員へのインタビュー調査も実施することができ、女性労働政策についても理解を深める事ができて、たいへん実りの多い調査であった。しかし、政治的経済的変動の中で、とくに政権交代を経て、アンペイド・ワーク政策の継続については課題が多い事も分かった。 国内では、地域ぐるみで地産地消の推進にとりくむ九州地域の有機農業生産者グループ、パーマカルチャーをめざす共同生活農園グループ、地域の農家が連携したコミュニティレストランの調査を行い、若者が主体となっている新たなサブシステンスエコノミー活動の実態や担い手の特徴について調査を行うことができた。 県内については、サブシステンスエコノミーを形成するNPO団体の取り組みを中心に調査し、学会において報告を行った。 市内調査については、最近とくに若い世代の農ある暮らしを求めるムーブメントなどが顕著になって来たことから、こうした新たな価値観を持つ新規参入者層についての調査へと比重を若干修正して実施することとし、25年度に実施する予定へと変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では西欧型の二つの国およびイタリア調査を行う予定であり、24年度にイタリア調査、25年度にオランダ調査の予定であったが、H24年に、オランダでは、女性史研究センターが改組して、オランダにおける女性問題の研究センターが創設され、その協力を得ることができることとなった。これによって、調査の準備が整ったため、オランダ調査を先行して実施することになった。 国内調査については、当初予定していた東北地域の調査が2011年の東日本大震災の影響で困難になり、調査対象地を変更したため、調査のアレンジに時間がかかったが、予定した規模の調査を行うことができた。新たな調査対象となった九州では、震災から避難した有機農業者のヒアリングや、放射能汚染の影響を懸念して移住した、トランジションの新しいムーブメントを発見することも出来、予定よりもより現代的な現象について調査できたと考えている。 県内市内調査については、2011年の震災の後、サブシステンス・エコノミーを形成する新しいムーブメントが顕著になって来た事から、調査対象を変更してH25年度に行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、海外調査および国内調査のの準備を早めに行い秋には調査完了をめざして、日程を調整して行きたい。 また、今年度は、本研究の最終年にあたるため、中間的なとりまとめについて学会等で発表するとともに、年度末で研究を取りまとめて、H26年春に学会および論文等にて成果の公表を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、イタリアでの海外調査および、国内でのサブシステンス・エコノミーにかんする調査、および、調査結果の集計(人件費)に使用する予定。 繰越額677,023円については、25年3月末のオランダの旅費と調査に係わる通訳料等の委託費としてすでに使用した。調査の実施が3月末であり精算が25年度になったため平成24年度の残高となっている。
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