研究課題/領域番号 |
23530703
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
粟谷 佳司 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90411115)
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研究分担者 |
福間 良明 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70380144)
長妻 三佐雄 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (80399047)
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キーワード | 鶴見俊輔 / 山本明 / 能勢克男 / 思想の科学 / ベ平連 / フォークソング / ネットワーク / 大衆文化 |
研究概要 |
本年度も昨年度に引き続き、同志社大学における新聞学という学知の形成過程、展開に関して歴史社会学的な方法による分析を行った。 研究代表者、研究分担者によって研究遂行のための研究会を2ヶ月に1回の割合で行い、各自の進捗状況について報告を行った。研究に関しては、今年度は資料収集に引き続き力を注ぎ、関係する資料を収集し、それらをまとめつつ論文化して行く作業を行った。研究会では本研究に関わる研究者をゲストとして招き、研究が多角的に遂行出来るように報告を行ってもらった。 研究代表者の粟谷は、1960年代から1970年ごろの同志社大学時代の鶴見俊輔の言説・思想を総合的に理解するために、昨年から行っている鶴見の著作と彼の学外の活動である「思想の科学」「ベ平連」との関わりも視野に入れながら分析を行った。そして、鶴見の『限界芸術論』を中心とした文化論とその学生文化への影響について音楽文化を中心に考察した。 研究分担者の福間は、昨年から引き続き1960年代から1980年代にかけての同志社大学の山本明の言説・思想について、彼の著作をもとに検討を行い研究会で報告した。そして山本におけるメディア研究と、特に現代風俗への言及から山本の思考と京都・関西の知的文化との関連についての課題を考察した。 研究分担者の長妻は、今年度は同志社大学教授の能勢克男の基本的な文献・映像資料を収集し、戦前の関西における文化活動から考察し、『土曜日』においてつながる中井正一らの議論とも関連させながら、和田洋一へと関わるネットワークについて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である同志社大学新聞学の形成過程と展開について研究はおおむね進展している。 粟谷は、60年代に同志社大学新聞学の一翼を担った鶴見俊輔の業績と活動、当時の学生文化についての資料収集も順調に進んでおり、研究成果の一部を論文として発表、学会においてもワークショップを主催して報告を行った。 福間は、昨年から引き続き山本明の言説・思想について、彼の著作や論文などを調査して戦後日本の大衆文化に対する認識を検証した。また山本や戦後日本の新聞学の学知と大衆文化が関わるメディア文化をケーススタディーとして考察を行った。 長妻は、同志社大学新聞学以前の政治学思想を中心に考察を行うために、今年度は能勢克男の基本的な文献・映像資料を収集し研究会において検討を行った。また、在野のジャーナリスト、三宅雪嶺の思想や、鶴見、清水幾太郎、中井正一らの議論を検討しながら、知識人とメディア、市井の人々の声と思想との関係についての報告も行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と本年度は、同志社大学新聞学の形成過程と展開という研究の遂行のための基本的な資料、文献の収集を行い、戦前から戦後にかけての新聞学の総合的な理解の見取り図を作成し、同志社大学新聞学の形成と展開における研究者の言説・思想の研究のための個別具体的な文献や資料の収集を行った。そして、研究の成果として関連する研究を論文として発表、学会でのワークショップにおいて報告を行った。 今後は、研究成果をまとめるために、引き続き研究分野に関連する文献、資料において不足しているところを収集しながら検証作業を行い、成果をまとめて発表して行く。 具体的には、新聞学に関わる政治学、思想史、学生文化、大衆文化研究などに関する文献・資料から、新聞学の形成と展開について研究会メンバーで認識を共有し、同志社大学新聞学の位置について、近代日本における新聞学に関する諸問題、そして戦後の関西の大学における新聞学、メディア研究、大衆文化研究の展開と知識人たちのネットワークを分析し、成果をまとめるための研究会を開催する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度も研究費の一部を次年度に持ち越している。それは、次年度に新たな研究分担者が参加し、追加的な文献の収集の計画があるためである。 次年度は、同志社大学新聞学の形成過程と展開、そして、近代日本の新聞学と新聞学研究との比較、知識人のネットワークの分析のために、引き続き関西の大学や東京大学を中心とする新聞学研究、在野のジャーナリズムと新聞学に関する諸問題の文献と資料の収集、購入、国会図書館や大学図書館などへ資料を収集するための出張、学会への発表も含めた参加のための費用としての研究費使用を計画している。
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