研究課題/領域番号 |
23530704
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
満田 久義 佛教大学, 社会学部, 教授 (60131306)
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キーワード | マラリア教育 / マラリア制圧 / 社会疫学調査 / マラリア見守り隊 / インドネシア / ロンボク / 国際共同研究 |
研究概要 |
2012年度の科学研究費の助成を受けた、マタラム大学医学部との国際共同研究「マラリア制圧プログラム」は、マラリア教育メソッドの開発を目指す新たな段階に入り、順調な成果を上げることができた。特に、西ヌサティンガラ州政府の全面的な協力を得ることができ、各地区のプスケスマス(地域健康センター)からの専門家の小学校への派遣によって、新しい「マラリア教育システム」構築の推進が可能となった。 ① 2012年度は、2006-2008年度に実施した世帯主(家の代表)を対象とした「マラリア社会疫学調査(SBDESS)」の改定版である小学生を対象とする「マラリアに関する知識と行動の社会疫学調査(ESMKB AESCEL)」を実施した(東ロンボク島のマラリア感染地域にある5小学校5~6年生398名を対象。2012年6月4日から28日の54日間)。その研究成果は、『佛教大学社会学部論集』56号、2013/3で発表。 ② 2013年2月には、同一対象小学校で「持続可能なマラリア教育システム構築(SBMI ESC) 」プロジェクトを実施した。今回の新たなプロジェクト研究では、持続可能なマラリア教育システムを目指した。「熟議型調査法」を援用し、マタラム大学医学生40名が小学校を訪問。「マラリアの語り部」として、昨夏の調査結果(ESMKB AESCEL)をアニメ化したパンフ(「マラリア見守り隊」が活躍するストーリー)を使い、③マラリアの医学知識を解説、④マラリアに関するゲームをしたのち、⑤同一のマラリア社会疫学再調査を行い、新しいメソッドの教育効果を検証した。その中間報告は、『佛教大学社会学部論集』57号、2013/9で発表予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私たちが構築した小学生参加型の「マラリア持続的教育メソッド」(Mataram University Method for Malaria Sustainable Education: MUM/MSE)では、マラリア教育の達成度を測る目安としている「マラリアに関する8つの基本項目」の正解率が、昨夏のプレ調査では全問正解者はほぼ皆無であったにもかかわらず、2月の同メソッドを援用した後のポスト調査の正解率は55%へとアップし、対象者のマラリア撲滅への関心や意欲も格段に高まり、全項目で想定以上の結果がでた。これは、従来の学校配布の官製資料や医者による指導に変え、子供が親しみやすいアニメ作成とマラリアの語り部、ゲーム(マラリア知識のコンペ)の導入の効果と考えている。 MUM/MSEの有効性を検証するには、より多くの検証が求められるが、当初想定していた成果以上の結果を得たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マタラム大学医学部との国際共同研究「マラリア制圧プログラム(2006-)」の主要なプロジェクトとして、「マラリア持続的教育メソッド」(Mataram University Method for Malaria Sustainable Education: MUM/MSE)が組み込むことができたので、対象地域・小学校を拡大し、ロンボク島で最もマラリア感染率が高い東ロンボクのBelantingで大規模なマラリア疫学調査を実施する予定である。(なお、Belantingのマラリア現況は、Annual Parasite Index of Malaria (API)が, 7.29で最悪。1377名の罹患者。2011年現在)。 研究成果としては、単著として、SUSTAINABLE MALARIA EDUCATIONをマタラム大学出版局から刊行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際共同研究「マラリア社会疫学調査」を継続実施するために、①海外渡航費とインドネシアでの国内旅費(1名32万円予算)が必要となる。また、調査謝金、とくに医学用語翻訳や専門的知識謝金は不可欠である(9万円予算)。なお、医学生の謝金については、マタラム大学が負担することになった。その他、携帯可能なパソコン(15万円)および、付属備品や文房具、消耗品の費用(4万円予算)などが必要となる。出版・印刷にかかわる費用については別途考える予定である。 なお、平成24年度の残額が、約2万円が残りましたのは、8月のインドネシア旅費が予定より多かったため他の購入予定を取りやめたことで残額が発生しました。
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