1.最終年度(平成26年度)には、男性介護者と支援者の全国ネットワーク(男性介護ネット)の作成したケアメングループのプロフィールシートを基にして、幾つかのグループ主催者へのインタビュー調査や活動への参与観察を行ってその実態把握に努めてきた。ケア包摂型コミュニティをテーマとした公開シンポジウムや研究会を開催し、また男性介護ネットの報告書や研究誌への寄稿、図書の発行などを通して研究成果を社会に発信してきた。 2.研究期間(平成23年度~26年度)全体を通し、男性介護者と支援者の全国ネットワーク(男性介護ネット)等と提携し全国100か所のケアメングループの実態把握とそこでの取り組みの効果検証を基にケアが仲介するコミュニティ形成を主題とする本研究を進めてきた。平成25年度から進めてきた介護する男性を対象とした会や集いなどを主催するグループの全国的な実態把握とそこで取り組まれているプログラムの効果検証を継続して実施してきた。主要なグループへの参与観察やインタビュー調査によって次のような実態を明らかにしてきた。第1に活動するグループ数は全国に100か所を超えるという組織化の広がり。第2に活動を主宰する組織・団体の多様性。第3にそこでは自らの介護体験を語り他者のそれに耳を傾けるという「語る/聴く」プログラムを中心に、体験記を「書く/読む」、生活・介護スキルを「教える/教わる」等々という「支え手」と「受け手」とが一体となったプログラムが開発され展開され、社会に発信されているということ。活動プログラムの展開の中で、自らの介護体験を相対化しつつ他者との関係を取り結ぶような、介護が紐帯する新しい連帯、すなわち「ケア包摂型コミュニティ」の胎動も見られた。ケアを包摂するコミュニティと、その開発動力となる介護当事者及び支援者の織り成す緩やかなネットワーク活動との確かな相関性の確認であった。
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