江戸時代は商品経済が広がり、各地に大都市が形成された。各都市では精神障害者に対する公的な処遇が生まれた。江戸では、自宅に檻入、入牢、溜預という3つの処遇が存在し、非人制度にもとづく処遇であった。他の都市では、自宅に檻(囲)をつくって入れ置くのが基本的な対応であり、それができない場合に牢に入れ置いた。都市では精神障害者を閉じ込める空間を必要とされ、都市には必ずあった牢を使ったのである。大坂では「乱気牢」という名称の牢が存在していた。仙台では、「牢拝借」という処遇が存在した。刑罰で使う施設の活用が、精神障害者への認識に影響したと考えられる。
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