研究課題/領域番号 |
23530718
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
廣井 良典 千葉大学, 法経学部, 教授 (80282440)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 福祉政策と都市政策の統合 / 福祉都市 / コミュニティ経済 / 地域内循環 |
研究概要 |
これまで福祉政策と都市政策という二つの領域は、十分な連携がなされぬまま展開してきたが、現在では両者の統合を図っていくことの重要性がきわめて大きくなっている。本研究では、「福祉政策と都市政策の統合」というコンセプトを確立・理論化するとともに、両社の統合が具体的にどのような形で実現できるのかを明らかにし、それらを踏まえた「福祉都市」等のビジョンやモデルを定式化していくことを目的としている。平成23年度においては、以上の問題意識を踏まえて、いくつかの個別の都市や地域にそくした事例研究に着手するともに、本テーマに関する概念枠組みの整理を行った。前者の事例研究に関しては、人口規模ないし地域の特性によって福祉政策と都市政策(地域政策)の統合に関する課題は多様であるため、少なくとも(1)大都市圏、(2)地方都市、(3)農村部という3つの大きなカテゴリーに区分し、各々の地域における問題点や展望を具体的に明らかにしていくことが必要と考え、(1)については東京都荒川区、(2)については高知市及び金沢市、(3)については岐阜県白鳥町石徹白地区を取り上げた。このうち(1)の東京都荒川区は、「GAH(グロス・アラカワ・ハピネス」という独自の目標を掲げ、指標作成や政策展開(町会の活性化や商店街の支援等)を行っている。(2)の高知市は経済同友会が「GKH(グロス・コウチ・ハピネス)」という理念の下での政策展開や指標の吟味を行っており、(3)は自然エネルギー(小水力発電)を通じた地域再生が同地区の神社等を中心とするコミュニティと一体に進められている興味深いケースである。今後はこうした事例分析をさらに掘り下げるとともに、研究の中で浮上してきた「コミュニティ経済」(経済の地域内循環を含む)といった概念の定式化等と併せて地域再生に関する理論や政策提言をまとめていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)上記のように研究テーマの目的に沿った調査研究が着実に進展している。調査の過程で、地方や農村部を含めた場合に「コミュニティ経済」という概念が有効であることが明らかとなり、より射程の広い研究の展開に至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を踏まえながら、特に(1)「コミュニティ経済」という概念の精緻化・理論化を図るとともに、(2)今年度の事例に加え、特に福祉商店街、農業関係、自然エネルギー関係、団地関係、高齢者関係等のコミュニティ経済ないし地域再生政策について検討を進め、総合化を図っていきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記のような事例研究に伴う出張旅費や専門的知見を有する者への謝礼、関連文献の購入等が主要な支出項目となる予定である。
|