研究概要 |
平成23年度は、日本における社会福祉士によるソーシャルアクションの実態を把握することを目的とし、日本社会福祉士会全会員数36,000から勤務先種別によって無作為抽出した3,600に対して無記名自記式の質問紙調査を実施した。 回収率が17.1%(616)という非常に低いものとなったが、この回収率自体がソーシャルアクションに関する関心の低さを物語っていると言えよう。ソーシャルアクションの重要性の認識を、最小値1から最大値10の間(日頃の業務を5と設定)で質問したところ、平均6.3、中央値7.0、標準偏差2.336となった。実践については、ソーシャルアクションの実践経験が51.8%あったが、頻度ではたまに(23.6%)、ときどき(17.2%)、よく(8.4%)、いつも(3.1%)となり、日頃から行われている実践とは言えない状況であった。有意に社会問題や制度課題の認識をしている人の方が、ソーシャルアクションを実践していた。また、性別、年齢、職位に関して、ソーシャルアクションの実践頻度に有意差が見られた。同様に、職位においてソーシャルアクションの重要性認識度に有意差が見られた。ソーシャルアクションの実践経験がある調査対象者の内、85%が専門職と連携していた。主な専門職は、医師、弁護士、保健師、看護師、介護福祉士、精神保健福祉士、司法書士である。ソーシャルアクションにおいて、89%が葛藤を経験していた。また、調査対象者の99.7%が、ソーシャルアクションを実践するために必要なことがあると答え、社会問題等の情報、社会資源開発に関する知識技術、実態調査に関する知識技術などを必要だと考えていた。 引き続き本調査で得られた自由記述による質的データおよび量的データの分析を進め、考察を深めて行く予定である。
|