研究課題/領域番号 |
23530723
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
新崎 国広 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10362740)
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研究分担者 |
松岡 広路 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10283847)
津田 英二 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30314454)
川島 ゆり子 花園大学, 社会福祉学部, 准教授 (50507142)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 福祉教育・ボランティア学首位 / 地域福祉 / 福祉コミュニティ / 教育コミュニティ |
研究概要 |
本研究は、福祉教育・ボランティア学習の分野において、筆者が取り組んできた学校・施設を基点とする、教育コミュニティと福祉コミュニティの新しい関係性構築に関する実践研究である。I.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の検証に関しては、日本福祉教育・ボランティア学会の研究紀要に論文を投稿し採択された。論旨は、「福祉教育・ボランティア学習」がもつ多様で豊かな学びの生起を可能とする実践研究は、十分に行われてきたとは言い難い現状であり、従来は福祉教育とボランティア学習を曖昧に使用してきた点を批判的に考察し、福祉教育とボランティア学習の個々の目的や役割・機能の相違点を明確にした論考した。II.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論研究に関しては、神戸大学の「ESD(持続可能な教育)研究(松岡)」「障害者領域研究(津田)」との共同研究会を定期的に実施した。III.学校・施設を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究に関しては、月1回程度「なぎさ(往還)型福祉コミュニティ研究会」を開催し、継続した研究協議を行った。当初予定していた施設を基点とする福祉コミュニティに関する先進施設の視察は、地域に開かれた施設として児童養護施設舞鶴学園(舞鶴市)と青葉学園(亀岡市)を視察調査した。これらの成果として、日本社会福祉学会第7回近畿ブロック社会福祉教育セミナーにおいて、「ソーシャルキャピタルとしての社会福祉施設の役割と課題-福祉施設とコミュニティの新たな関係形成を求めて-」をテーマに新崎(研究代表)川島(研究分担者)岡本・片山(研究協力者)によるシンポジウムを開催した。また、年度後半には、大阪府岬町における地域福祉共育実践に注目し、2012年度からの本格的アクションリサーチに向けて,2011年度は、福祉共育実践の展開過程を検証する準備的研究を行ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の理論研究については、『日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要Vol.18/2011』に論文「学校教育における福祉教育・ボランティア学習実践研究の役割と可能性」(単独)が掲載された2.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論の構築の研究に関しては、学校・施設を基点とする往還的学習の具体化過程に内在するエンパワーメント実践と連動した福祉教育・ボランティア学習のモデル構築とその実践化を通しての実践課題の対象化をめざし、神戸大学の松岡らを中心とする「ESD(持続可能な教育)研究会」を、ほぼ2ヶ月に1回程度開催し、日本福祉教育・ボランティア学会において課題別研究や自由研究発表を行った。3.学校・施設を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究に関しては、研究協議を続ける中で、福祉教育・ボランティア学習実践が、福祉コミュニティと教育コミュニティの新たな関係性構築に資する可能性について探求している。具体的には、(1)施設を基点とした福祉コミュニティ研究会を,月1回程度定期的に開催し、日本福祉教育・ボランティア学会や日本地域福祉学会での研究発表をめざして、研究協議を行っている。(2)学校を基点とする福祉・教育コミュニティ実践研究では、大阪府岬町における地域福祉共育実践に注目し、2012年度からの本格的アクションリサーチに向けて,2011年度は、福祉共育実践の展開過程を検証する等準備的研究を行った。ただし、当初予定していた、学校支援地域本部事業へのアンケート調査や先進地区(多摩市、青森市)への視察は,東日本大震災等による教育現場の混乱の影響もあり実施できなかったため、先進施設の視察は、地域に開かれた施設として児童養護施設舞鶴学園(舞鶴市)と青葉学園(亀岡市)に予定を変更して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた、学校支援地域本部事業へのアンケート調査や先進地区(多摩市等)への視察が,東日本大震災等による教育現場の混乱の影響もあり,実施できなかったため、先進施設の視察は、地域に開かれた施設として児童養護施設舞鶴学園(舞鶴市)と青葉学園(亀岡市)に予定を変更して実施したため、当初予算より旅費の支出が少なかった。このため予算的に生じた繰越金~~円については、大阪府岬町等で行うアクションリサーチの記録用カメラやビデオカメラ、携帯用のノートパソコン等の購入を予定している。研究計画については、昨年度同様、I.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の検証、II.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論研究、III.学校・施設を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究の三本柱を継続して行っていく。 なお、「福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論研究」については、昨年度の研究協議の成果を踏まえて、従来の個人の学びや変化に焦点を当てるのではなく、福祉教育・ボランティア学習におけるコミュニティ形成の視点に重点を置き実践研究を進めていく。学校・施設を基点として地域と往還的に交わっていくことで、福祉コミュニティと教育コミュニティの境界線が境界帯なり、地域の中で一見異なるコミュニティに属している人々がや拠点がつながり、実質的な学びを提供しえる小地域の福祉活動が生まれてくるといった仮説を基に、福祉コミュニティと教育コミュニティのあらたな関係性を探求していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
教育コミュニティと福祉コミュニティの関係性構築のための実践モデルとして、2012年度から大阪府岬町における地域福祉共育実践に、本格的アクションリサーチを実施する。このため、FGIやヒヤリングのための調査費や記録用のカメラやビデオカメラ、携帯用のノートパソコン等の購入を予定している。視察研究・フィールドワーク旅費は、地域との協同実践を展開している「精神障害者施設(徳島県三好市)」や「青森県地域教育力推進協議会」等先進地域への視察・調査研究を予定しており。学会発表の旅費も予定している。その他、関連図書の購入、研究協議・研究発表旅費、事務消耗品等の支出も計画している。
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