研究課題/領域番号 |
23530723
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
新崎 国広 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10362740)
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研究分担者 |
松岡 広路 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10283847)
津田 英二 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30314454)
川島 ゆり子 花園大学, 社会福祉学部, 准教授 (50507142)
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キーワード | 福祉教育・ボランティア学習 / 地域福祉 / 教育・福祉コミュニティ / アクションリサーチ / なぎさ理論 |
研究概要 |
本研究は、福祉教育・ボランティア学習の分野において、筆者が取り組んできた学校・施設を基点とする、教育・福祉コ ミュニティの新しい関係性構築に関する実践研究である。このため本研究は、社会福祉学と教育学の学際的な視点から、「往環的学習」理論を構想し「往還的学習」が実践化するための基盤となる学校・施設と地域協働による新しい「教育・福祉コミュニティ実践モデル」を構築することを目的としている。具体的な研究の枠組みは、研究期間内に大きく分けて3つの方法によって研究を遂行する。本研究は、 I.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の検証(理論的宇研究)、II.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論研究、 III.学校・施設を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究の3つの研究から構成されている。 今(平成12)年度までの研究成果は、下記の通りである。今年度の大きな成果としては、大学教育出版者より『なぎさの福祉コミュニティを拓く-福祉施設の新たな挑戦-』を出版することができた。 その他、個々のパートの研究実績は以下の通りである。 I.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の検証(理論的宇研究)、日本地域福祉学会自由研究発表での発表に加え、大阪教育大学教育学部人間科学講座「発達人間学論叢」15巻に投稿した。 II.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論に関する研究、および、III.学校・施設を基点とした教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する理論・実践研究(アクションリサーチ)に関しては、研究者と実践者協同による定期的に研究会を開催し、学会発表や研究紀要に積極的に投稿を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に研修が進展したとした理由は、当初の計画では最終年度に予定していた、福祉施設を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究の成果として、大学教育出版より『なぎさの福祉コミュニティを拓く-福祉施設の新たな挑戦-』を、今年(平成12)度に刊行することができた点である。13年度は、特に学校・地域を基点とする「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践研究に力点を置いて、下記の研究を統合を図る。 I.「福祉教育・ボランティア学習における役割・機能分担仮説」の検証に関しては、日本地域福祉学会自由研究発表での発表に加え、大阪教育大学教育学部人間科学講座「発達人間学論叢」15巻に投稿した。 II.福祉教育・ボランティア学習における往還的学習理論に関する研究に関しては、新崎が以前から関わっている大阪府岬町における地域福祉共育実践の実践者に対してフォーカスグループインタビュー(FGI)の手法を用いて、アクションリサーチを行い、現在分析を行っている。 III.「学校・施設を基点とした教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する理論・実践研究(アクションリサーチ)に関しては、新崎は、東大阪市にある社会福祉法人玉美福祉会(地域包括支援センター・特別養護老人ホーム等)において、高齢者施設・地域包括支援センターを基盤としたアクションリサーチ「地域包括ケア」推進のための新しいコミュニティづくり事業~子供から高齢者まで、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくり事業~」を行っている。また、共同研究者である神戸大学松岡は、「ESD(持続可能な教育)研究(松岡)」として、岩手県大船渡市赤崎町において、地元住民と神戸大学生等の協同による赤崎復興隊を組織化し、ESDや福祉教育・ボランティア学習の観点から被災地におけるまちづくりのアクションリサーチを継続して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、福祉教育・ボランティア学習の分野において、筆者が取り組んできた学校・施設を基点とする、教育・福祉コ ミュニティの新しい関係性構築に関する実践研究である。このため本研究は、社会福祉学と教育学の学際的な視点から、福祉教育・ボランティア学習における「往環的学習」理論を構想し、往還的学習が実践化するための基盤となる学校・施設と地域協働による新しい「教育・福祉コミュニティ実践モデル」を構築することを目的としている。次年度(平成13年度)は、本研究に対する科研費助成の最終年度にあたるため、下記のような研究推進方策を立てている。 1.学校・施設を基点とする教育・福祉コミュニティ実践モデル」の検証のためのアクションリサーチの継続・調査分析・報告:①大阪府岬町におけ地域福祉共育実践の継続的調査・分析。②研究協力者である神戸大学大学院ヒューマン・コミュニティ研究センター所属の松岡広路教授が、岩手県大船渡市赤崎町山口公民館で取り組んでいる福祉教育・ボランティア学習におけるESD(持続可能な教育)研究の視察調査および、参与的観察を継続する。③大阪府東大阪市における高齢者福祉施設/地域包括支援センターを基点とする教育・福祉コミュニティ実践の参与的研究。 3.本研究の精緻度をたかめることを目的として、公開研究会や公開シンポジウムを開催し、3年間の成果を積極的に公表し、研究者や実践者との議論を活発に行う。 4.3年間の研究成果として3つの研究パートを統合した最終報告書を作成する。また、本研究の成果を広く普及するために、最終報告書刊行後1年以内を目処に,学校・地域を基点とした「教育・福祉コミュニティ実践モデル」の構築に関する実践的研究書を、出版社から刊行することを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成13年度)は、本研究に対する科研費助成の最終年度にあたるため、下記のような研究費の使用を計画している。 1.視察調査旅費:①北海道伊達市における知的障がい者施設を基点とした福祉コミュニティ構築モデルの視察調査および、研究協議。②岩手県大船渡市赤崎町山口公民館で取り組んでいる福祉教育・ボランティア学習におけるESD(持続可能な教育)研究の視察調査および、参与的観察。③大阪府岬町におけ地域福祉共育実践の継続的調査・分析 2.公開研究会や公開シンポジウムの開催費用:講師謝金、交通費、会場費等 3.最終報告書作成ための印刷代/郵送費等
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