研究課題/領域番号 |
23530729
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
岡田 英己子 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10233321)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 社会福祉関係 / A.ザロモン / ソーシャルワーク教育史 / ジェンダー史 / フェミニズム / ドイツ / オーストリア / 合衆国 |
研究概要 |
本研究「ドイツ女性団体連合国際ネットワークに見るザロモン研究―ICWとICSSWの連携役」は、比較ソーシャルワーク教育史として、ドイツのA.ザロモンの社会政策提言「同一価値労働・同一賃金」を機軸に置き、1920年代にヨーロッパ大陸型ソーシャルワーク教育の第一人者と評される経緯を明らかにするものである。彼女が合衆国ソーシャルワーク校で講義中断の憂き目に会う1930年代の合衆国博愛事業団体との関係・背景解明も含む。BDF(ドイツ女性団体連合)理事である彼女の社会政策提言を、BDF上部組織のICW(国際婦人連合,1888年設立)のフェミニスト達は、戦時期を挟んでどのように受けとめるのか。ヨーロッパ大陸の社会事業学校を束ねる彼女を、いかなる国内外の人脈が支えるのか。この全容を、「母性」言説の国ドイツで、打開策を福祉職国家(州)認定資格と女性公務員雇用に求めるザロモンの生き方を通して、解明していく。 分析視点としては、BDFフェミニズム戦略として、フェミニストの国際ネットワークに着目しながら検証した。本年は特に、初期のザロモン・フェミニズム論と社会事業・教育論に焦点を当てて、取り組んだ。その成果は以下の通り。岡田英己子(2012年3月)「A.ザロモンの初期著作にみる社会政策提言の真意 ― 1898年~1908年」『人文学報』首都大学東京都市教養学部人文・社会系/都立大学人文学部,454号,21-47.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年の一年目は、研究実施計画に即して、ザロモン博士論文を中心にザロモン著作数点の分析・解読を行った。ベルリンでの調査は当初計画に従って実施できた。「同一価値労働・同一賃金」の問題意識で書かれたザロモン博士論文と、彼女の初期フェミニズム論形成に影響を与えた人物との関連で、その学派の拠点ウィーンに5日間の滞在を加え、同地で予備的調査も実施した。次年度以降もベルリン調査と並行して、ウィーン調査は継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りに海外調査と国内での作業を継続する。本研究の二年目は、学会報告と論文執筆を計2つ行う。次年度の海外調査期間が以下のように長期になるために、論文一つは三年目に回す。調査内容・手順はいずれも変更はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
秋以降に二ヵ月以上(1回ないしは2回)、ドイツ・オーストリアで調査を実施する予定である。平成24年度後期の授業が一部軽減(平成23年晩秋に決定した)されたことで、本研究の二年目の海外調査期間が確保できる条件が出てきたからである。旅費・海外調査用に全額使用する予定。
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