研究課題/領域番号 |
23530732
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研究機関 | 岐阜県立看護大学 |
研究代表者 |
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (70326106)
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研究分担者 |
川上 昌子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (50095402)
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キーワード | ワーキングプア / 公的扶助 |
研究概要 |
本研究は日本のワーキングプアを脱工業化の視点から考察し、その生活実態及び生活問題の特質を明らかにし、自立支援に資する政策提言を提示することを目的とする。平成25年度の研究実績を以下に示す。 1.B市住宅手当緊急措置事業受給者調査結果分析 B市における住宅手当緊急措置事業(平成21年創設、以下住宅手当)の平成22年4月から23年9月受給者51ケースについて、同市生活保護受給世帯との比較分析を行った。生活保護受給世帯のうち「就労の問題」を開始理由とする保護世帯数の約半数に相当する世帯が住宅手当を申請・受給しており、見過ごすことのできない量であることが明らかになった。住宅手当によりこれらの世帯が生活保護受給に至ることを防いでいることが示された。 次に、同市生活保護世帯自立支援事業に係る実態調査結果(平成18年)により、自立支援事業の対象となった保護受給世帯と社会階層の比較を行った。保護受給世帯は「不安階層B」が多く締めているが、住宅手当受給者は保護受給受給世帯に比べ「一般階層」「不安定A階層」が多く、貧困が上位の階層まで広がっていることが示唆された。(「不安定階層A」とは、不安定的要素を根底に持つものの、さしあたりは普通とされる社会生活を送ることができている階層。「不安定階層B」とは、仕事も生活もかなり不安定で常時の状態で低所得階層であるといえる階層である。) 上記について日本社会福祉学会第61回秋季大会(平成25年9月)にて、「住宅手当受給者の就労と生活(1)(2)として報告した。 2.前年度に引き続きオランダ公的扶助改正に関する政府資料、統計資料、研究文献等の収集、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が不測の病気により予定していたオランダ公的扶助研修を延期する必要が生じた。また、住宅手当受給者のうち「中止」「延長」ケースの再分析を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
・平成24年度に実施した住宅手当受給者調査結果の再分析を行う。住宅手当は平成25年4月より「住宅支援給付」と名称変更し、支給期間も原則6ヶ月から3ヶ月へ短縮された。支給期間に着目し、「中止」「延長」ケースの再分析を行い、それぞれの特徴を明らかにする。日本社会福祉学会で報告予定である。 ・平成26年8月にオランダ研修を行う。公的扶助制度改正により地方自治体の責任が重くなったが、自治体規模による相違について研修を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が不測の病気により、航空機による長時間の渡航が困難となったため、オランダ公的扶助改正に関する海外研修を延長する必要が生じたため。 平成26年8月にオランダを訪問し、大都市及び地方都市の公的扶助関係者と面談し、法改正後の実際(含む財政)についてヒアリングを行う。あわせて関連資料・データ収集を行う。
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