本研究は日本のワーキングプアを脱工業化の視点から考察し、その生活実態及び生活問題の特質を明らかにし、自立支援に資する政策提言を提示することを目的とする。A市住宅手当緊急措置事業(以下「住宅手当」)の受給者について就労と生活の両面から生活実態を分析した。 住宅手当受給者の世帯規模は小さく、就労していた時点から生活水準は低位であり、雇用保険の外に置かれるような働き方である。住宅の不安定性を抱えた者が再生産の場である家族の安定性も欠いている。住宅手当により生活保護受給を予防することはできたが、すべての者が就職できていない。失業を機に生活崩壊の危機に直面した現代の不安定低所得層の一形態である。
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