研究課題/領域番号 |
23530733
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
高山 靖子 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 准教授 (80460517)
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研究分担者 |
古瀬 敏 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (60367597)
池田 千登勢 東洋大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40434063)
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キーワード | ユニバーサルデザイン / インクルーシブデザイン / 製品プロモーション |
研究概要 |
23年度は食品にターゲットを絞って調査を実施し、24年度はこの調査内容を分析して論文にまとめ、国際会議DRS2012(タイ), KEER2012(台湾)において口頭発表を行った。このうち、KEER2012の内容は、Kansei Engineering International Journal Vol.12 No.2に採録が決定している。さらに調査を進めるうちに、5か年計画とは別に日本セルプ協会がデザイン支援活動を行っていたことが判明したため、実施したセルプ協会と受けた作業所に対して調査を行い、24年度に提案した支援方法と比較し、その有効性について検証した。これについては、25年度に行われる国際会議Inclusive Asia2013(香港)において発表することが決定している。 同時に、24年度に得た結果をベースとしてヒアリング内容を設計し、食品以外のカテゴリー商品を生産する作業所と管轄する自治体の担当者に対して調査を行った。伝統工芸などのクラフトや樹脂のポッティングによるドロップスアートなどに取り組む作業所を中心に、島根県(いわみ、神楽面)(よつば、張り子の虎)、沖縄(そてつの実、立体ステッカー)、熊本県(阿蘇くんわの里、馬油保湿化粧品)、神奈川(あすなろ学苑、ジャム)などの7作業所(熊本県:2作業所、神奈川県:1作業所、沖縄県:2作業所、島根県:2作業所)である。これをもとに、「人」に関する視点(人材育成、人材管理評価、モチベーションアップ、人材確保など)と、数少ない「食品以外の優秀なオリジナル商品」開発に特有の成功要因と思われる点があるのかどうか、つまり、「食品と非食品で何が異なり、何が共通なのか」を切り口に商品開発・販売の流れについて分析を試みた。これについては、25年度に行われる感性工学会や日本福祉のまちづくり学会などで発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に計画変更した通り、23年度から24年度に行った「食品」のカテゴリーの作業所を対象とした調査をもとに、24年度は「他」のカテゴリーに取り組む作業所を中心に調査を行った。 24年度の結果については、予定通りDRS2012(7月/タイ・バンコク)とKEER2012(5月/台湾)においてその一部を論文として発表した。また、この調査の過程で判明した5か年計画以外のデザイン支援の取り組みについても調査を追加し、24年度に発表した提案内容の検証を行った。これについて論文にまとめたものが、国際会議Inclusive Asia2013(香港)において採択され、7月に発表することになっている。 「食品」カテゴリーのの製品ついては23年度に実施済であるため、それ以外の製品について、比較のために調査対象の近隣の作業所も加えた合計7作業所(熊本県:2作業所、神奈川県:1作業所、沖縄県:2作業所、島根県:2作業所)に対して聞き取り調査を実施した。現在は、授産製品コンテストにおいて受賞しているクラフト系のデザインマネジメント状況の調査と分析を行い、「他」カテゴリーの成功要因の抽出を試みている。これについても25年度に、感性工学会や日本福祉のまちづくり学会などで発表する予定である。 このように、23年度後半から24年度後半にかけて、データの収集を中心に行うという当初の予定通り、調査は順調に進行している。成果の発表についても23年から随時行っており、25年度は24年度に行った食品以外の調査から得た知見も加えて、最終年度としての研究成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、すでに調査を終了している食品以外のカテゴリーを中心に、作業所のデザインマネジメントとそれに対して有効であった行政のサポートについて分析を進め、論文などの形式で発表に努める。 また、24年度に行った特定非営利活動法人・日本セルプセンターの「デザイン活動支援事業」に加え、24年度に行うことができなかった「テミルプロジェクト(株式会社テミル)」の事例についても追加調査を行う。そして、その結果と手法の比較と分析を行うことによって、成功や失敗要因の抽出を行う。 25年度は、これらの分析結果をまとめて、作業所に対するサポートとしてなすべきデザインマネジメントの手法と行政や市民のサポートの最終的な提案を行う。その提案を研究の成果を国内の学会(日本デザイン学会、感性工学会、日本福祉のまちづくり学会等)にて発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、成果をまとめながらも、その過程で必要となった追加の調査を行うため、研究代表者、協力者ともに数回の出張が必要であり、発表のための国内外の出張も含めて研究費を旅費として使用する。加えて、インタビューのテープ起こしや収集した資料の整理のための学生アルバイトや外部委託のために謝金などに使用する。また、研究成果を国際会議で発表するための翻訳の経費にも使用する。他に、研究の分析ための参考文献や資料の整理のための用紙や文房具などの消耗品に使用する予定である。
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