市民をサービス利用者、消費者、顧客と捉え、市場としてサービスの供給を進め、経営管理主義の台頭があるなかで、ソーシャルワークにおける社会正義への責任や平等主義への志向は後退した。主流のソーシャルワークは、システムの変革よりも秩序の維持・適応を目標に据え、社会構造の歪から生じる諸問題を解消する観点は乏しい。 そうした脈絡において、次の観点からクリティカル・ソーシャルワークの構想を試みた。(1)抑圧の個人的経験を広範な政治的理解と関連づける構造分析、(2)抑圧や支配を除去し、搾取や社会的不正義を克服するのにふさわしい社会正義への志向、(3)批判理論、ポストモダニズム、ポスト構造主義の思考。
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