研究課題/領域番号 |
23530736
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
竹本 与志人 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70510080)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 透析患者 / 主介護者 / 精神的健康 |
研究概要 |
本研究の目的は、透析医療に従事する保健・医療・福祉専門職の評価・介入の指針を得ることをねらいに、血液透析患者の心理的段階に着目し、患者の精神的健康と主介護者の療養継続困難感との関連を明らかにすることである。具体的には、(1)血液透析患者の心理的変容過程について明らかにすること、(2)血液透析患者のデータを心理的段階ごとに分け、血液透析患者の精神的健康と主介護者の療養継続困難感との関連を明らかにすること、(3)主介護者の療養継続困難感を引き起こす機序について因果関係モデルを構築し実証することの3点である。 初年度である平成23年度は、研究の科学的妥当性が高くなるような計画を立案するため、血液透析患者に関する文献収集ならびに文献的検討を行った。また、血液透析療法に関する医学情報の収集、血液透析患者や主介護者の現状などを情報収集した。また、研究関係者での協議、岡山県腎臓病協議会(患者会)との打ち合わせを行った。 翌年度以降の調査研究をより有用な内容にすることを目的に、年度末に予備調査を実施した。予備調査では、透析患者ならびに主介護者のストレッサー(ストレス源)に焦点を当て、岡山県腎臓病協議会の協力を得て、会員3割弱(患者・主介護者500組)を対象にアンケート調査を行った。平成24年3月末現在412組(82.4%)から回答があり、現在集計・分析を実施しているところである。自由回答欄に書かれたストレッサーを確認すると非常に深刻な内容も多くみられ、新たな知見を得るための研究に有用なデータが収集されたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、順調に進展している。 当初は予備調査は計画していなかったが、先行研究を精査する中でその必要性が高まり、実施することにした。このたびは岡山県腎臓病協議会の多大なる協力により、当該年度の予算内で実施することができた。 予備調査の結果は翌年度以降に予定している調査の立案に非常に有用な資料となり得ると考えている。そういう意味では研究計画は予定通り順調に進んでいるとともに、内容がさらに充実し、研究の質も当初より高まっていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
予備調査の結果を基に、平成24年度はインタビュー調査を実施し、質的研究の手法を用いて心理的変容過程を明らかにする予定である。インタビュー調査は本研究の連携研究者であり、長年質的研究に携わり研究業績の豊富な岡山県立大学の村社卓准教授等とともに実施する予定である。調査対象者は岡山県腎臓病協議会に相談し、現在心理的適応状態にある患者を紹介いただき、調査の主旨を十分説明したうえで協力を依頼する予定である。 平成24年5月には全国腎臓病協議会の全国大会が岡山で開催されるため、出席し、患者ならびに主介護者に関する情報収集を行うなど試みる予定である。 平成23年度ならびに平成24年度の調査で得られた知見を基礎に、平成25年度には大規模調査(量的調査)を実施することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、以下の研究費使用が考えられる。1.予備調査のデータ解析ならびに報告書作成等に係る人件費・作成費等2.質的調査に係る被験者への謝金ならびにデータ解析等に係る人件費、インタビューのための場所の確保に係る経費、ボイスレコーダーなどの備品、研究実施者の旅費、報告書の作成費等3.研究成果発表のための学会参加費・旅費等4.研究成果発表のための論文投稿に係る経費等5.その他(消耗品等)
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