研究概要 |
平成14年に実施した岡山県腎臓病協議会の会員(透析患者)ならびに家族(主介護者)を対象とした調査研究において,家族機能と透析患者の精神的健康および主介護者の療養継続困難感との関連性に着目し,透析患者の精神的健康低下の発生モデルを構築して検証を行った。その結果,家族機能のうち家族の凝集性が主介護者の療養負担感(社会活動の制限の認知,否定的感情の認知)と関連し,否定的感情の認知が療養継続困難感を介して透析患者の精神的健康と関連していることが明らかとなっている。透析患者の心理は療養過程で変容すると考えられており,透析患者の心理的変容過程の各段階における主介護者の療養継続困難感との関連の検証が課題であることから,本調査研究では,透析患者の心理的段階に着目し,患者の精神的健康と主介護者の療養継続困難感との関連を明らかにすることを目的とした。今年度の調査は,平成23年度の量的調査(予備調査)ならびに平成24年度の質的調査の結果を踏まえて計画立案した。調査対象は,岡山県内の血液透析患者約2,000名とその家族(主介護者)約2,000名,合計約4,000名とし,岡山県腎臓病協議会ならびに岡山県医師会透析医部会の賛同と協力を得て,平成25年7~8月に実施した(同年5月30日に岡山県立大学倫理委員会の承認を得た)。回収数(率)は透析患者1,126名(56.3%),家族1,056名(52.8%)であった。データクリーニングと記述統計を行い、賛同・協力いただいた2団体に報告を行った(具体的な解析と報告書作成等は平成26年度実施予定である)。この調査研究のほか,平成23年度に行った予備調査の成果について日本社会福祉学会第61回秋季大会にてポスター発表を行い,今年度のデータの一部を解析し,第18回日本在宅ケア学会学術集会にてポスター発表を行った。
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