平成25年度の調査研究で得られたデータを中心に解析を行い,調査報告書の作成等を行った。分析の結果は次のとおりである。 透析患者の約30%の精神的健康が低下しており,関連要因は合併症数,ADL,透析関連の潜在的ストレッサーのうち,「疲れやすい」などの6要因であった。また,家族機能との関連性の検証の結果,家族の凝集性が良くないと認識している透析患者の精神的健康が低下していた。透析患者のストレスに着目した分析の結果,透析に対するストレス認知が高いほど高ぶる感情が高かったが,医師や看護師からのサポートを認識している患者はストレス認知が低かった。 透析患者の主介護者の約15%の精神的健康が低下していた。療養負担感の関連要因は,「患者の高ぶる感情」,「針刺し事故」,「医療費の自己負担額」などの11要因であった。また,家族機能と療養負担感に有意な関連が確認された。さらに,療養負担感と療養継続困難感の関連性の検討の結果,両要因の間には有意な関連が確認された。 平成24年度の患者のインタビュー調査から得られた結果を基に,心理状態を類型化した結果,5つのクラスが確認された。クラスと属性等の関連性を検討した結果,透析歴のみに有意な関連が見られたことから心理状態の変容過程が推測された。さらにクラス毎に主介護者の療養継続困難感と透析患者の精神的健康の関連性を検証した結果,クラス1~3では両要因に有意な関連が確認されたものの,クラス4は非有意であり,クラス5は有意傾向であった。 以上の結果より,透析患者と主介護者の心理は関連していることが明らかとなり,双方の心理とその関係性に視点を置いた支援の重要性が示唆された。
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