研究課題/領域番号 |
23530737
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
金 潔 大正大学, 人間学部, 准教授 (50347811)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 日本 / 中国 / 韓国 / 父親の育児参加 / ワーク・ライフ・バランス / 子育て支援 |
研究概要 |
本研究は、定量的調査ならびに定性的調査を通して、柔軟なワーク・ライフ・バランスの実現を考慮した父親の育児参加を促進する地域密着型の育児参加促進プログラムを開発することに資するデータを、東アジア(日本、中国、韓国)の父親を対象に収集し、それを基礎に父親の育児参加に関連した因果関係モデルの実証的な検討を行なうものである。初年度(平成23年度)は研究実施計画通りに進めて来ており、研究の成果は以下に示したとおりである。(1)アンケート調査の実施、データ入力および解析 中国、韓国の都市部の保育所を利用している父親(末子の年齢が就学前)を対象に、それぞれ500部の調査票を配布し、アンケート調査を実施した。調査内容は、父親の基本属性、育児参加水準、伝統的価値観、性別役割分業観、親役割感、ワーク・ライフ・バランスに関する意識、QOL等で構成されている。調査実施後にデータ入力作業を行い、いまはデータを分析しているところである。(2)現地(中国、韓国)でのヒアリングの実施 中国、韓国の大学教授をはじめ、保育の専門家、保育施設を訪問し、若い親世代の育児に関する現状と課題についてのヒアリングを実施した。中国の一般家庭においては、父親も母親も職業に従事し、家事・育児全般にわたって夫婦が協力し合い、家庭生活を営んでいるのが一般的傾向である。もう一つ特徴として言えるのは、祖父母の育児参加である。一方教育に大変熱心な韓国の親たちは、保育プログラムの中に教育面に重きを置くように要求してくる。また離婚率が増加し、ひとり親家庭が増え、保育園では延長保育や土曜保育も提供している。韓国の保育園も日本同様利用者の多様なニーズにこたえている。現地でのヒアリングを通して、中国および韓国における育児に関する現状についてより理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者として積極的に連携研究者と密に連絡を取り、過去3年間の予備調査で実施してきた調査票を再度慎重に連携研究者と確認作業を行ない、次いで翻訳作業に移行し、早い段階から調査票を完成させた。またアンケートの実施に関して、中国および韓国の研究協力者に本研究の目的を理解してもらうことにより協力を得ることができ、おおむね研究実施計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度はおおむね研究実施計画通りに進めることができたので、次年度(平成24年度)も研究実施計画通りに進めていきたいと考えている。(1)アンケート調査および統計解析の実施:日本の都市部に在住する父親(末子の年齢が就学前)を対象に、中国、韓国同様の調査内容でアンケート調査を行う。調査実施後速やかにデータ入力作業を行い、あわせて基本的なデータ分析を行なう。初年度同様、研究代表者と連携研究者で進める。(2)聞き取り調査票の作成および実施:半構造化面接に用いる内容は、2008年から2010年の予備調査で研究代表者が整理してきた父親の育児参加に関連する諸要因を基礎に、父親の育児参加が、1)母親の夫婦関係満足感、2)ワーク・ライフ・バランス、3)QOL等、に与える影響で構成する。聞き取り調査は、日本、中国、韓国の父親の職業等(公務員、専門職、会社員、自営業)を考慮した母親を対象に実施する。母親に対して、前記3項目に対する具体的な考えおよび状況について聴取し、それを、女性の視点から見た柔軟なワーク・ライフ・バランスの実現という観点から、研究代表者と連携研究者で進める。(3)資料の解析:記述統計を実施した上で、前記(2)の3項目の父親の育児参加に関連する諸要因と関連させて、その解決に必要な専門的な社会福祉的実践を、重要度の観点から提示し、研究代表者と連携研究者で進める。 次年度は引き続き研究を深めていきつつ、積極的に日本社会福祉学会等の国内学会および国際学会等で発表する他、日中韓の学術論文の投稿等を行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は日本の都市部に在住する父親を対象としたアンケート調査および日本、中国、韓国の母親を対象とした聞き取り調査を実施することから、それら3か国の研究者との共同研究が不可欠となる。したがって、現地協力者との打ち合わせならびに調査実施のために必要な旅費が計上している。 また調査の実務(データ入力、統計分析)のための謝金、情報収集のための図書購入費や調査用紙、印刷代、コピー代、研究成果の発表のための旅費が計上されている。 以上のように、研究経費はどれも本研究の研究計画・方法に乗っ取ったものであり、研究遂行上必要不可欠のものである。
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