本年度は平成23年度、平成24年度の研究成果を踏まえたうえで、研究実施計画に沿って、研究を進めてきた。研究成果は以下に示す通りである。 1.アンケート調査結果の統計解析および成果物の投稿:①日本500名、韓国500名、中国600名のデータを用いて、父親の育児参加の頻度が父親の育児効力感を通して本人の健康関連QOLに影響するといった因果関係モデルを構築し、『父親の育児参加と育児効力感およびQOLの関連性に関する中韓比較研究』を題に『鴨台社会福祉学論集』に投稿した。②同データをさらに解析し、『日中韓における父親の育児行動と育児効力感および精神的健康の関連性に関する比較研究』をテーマに日本社会福祉学会において発表した。③日本、韓国、中国の父親各500名を対象に実施した結果、3か国の父親は子どもや家族との交流を望んでいても労働時間が長く、十分家庭への時間が配分できない状況にあり、ワークとライフのバランスが取れていない状況にあることが推察された。研究成果は『鴨台社会福祉学論集』に『東アジア3か国における父親の育児状況および子育て観』をテーマに掲載した。 2.聞き取り調査の実施およびデータ解析:日本、韓国、中国の母親計50名を対象に聞き取り調査を実施し、家族の状況、仕事の状況、育児を取り巻く環境、必要とする支援策などの項目を柱とし、解析した結果から、父親の育児行動を促進することの重要性が示唆された。また、育児期の父親のワーク・ライフ・バランスに関連した環境整備が求められると同時に、社会福祉支援プログラムの開発が必要と言えよう。従って、『日中韓における母親の子育て環境に関する比較研究』を題に学会で発表・投稿する予定である。 アンケート調査と聞き取り調査の研究成果を踏まえ、地域に根ざした東アジア型の父親の育児参加を促進する社会福祉支援プログラムについて考察を加える報告書を刊行予定である。
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