研究課題/領域番号 |
23530742
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研究機関 | 旭川大学 |
研究代表者 |
藤島 薫 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (90530121)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 精神疾患 / 早期支援 / 思春期・青年期 / 過渡的プログラム |
研究概要 |
本研究は、思春期・青年期(若者)に対する精神疾患早期支援の重要性をふまえ、具体的に学校または職場への復帰、広い意味での社会参加に移行できるための支援を検討することである。 研究の初年度である本年は、研究を推進するための基礎的資料、実態の把握、国内外における取組に関する研究が主な内容である。 先行研究に関する文献、資料については、データベース等やホームページなどから収集することができた。国内において、若者に対する過渡的プログラムの実践はまだ限られており、構造的な介入を行っているところはまだ見当たらない。そこで、先駆的に実践を行い、実績を出している例として、ニュージーランドの早期介入サービスで行われている「若者過渡的プログラム(Youth Transitional Program)」を訪問した。実践現場の見学、プログラムを利用している若者との交流、プログラムについてのレクチャーを受けることができ、非常に有益な知見を得ることができた。また、計画には記載していなかったが、同じく、ニュージーランドで実施されている「複合的フォスターケア(Multidimensional Treatment Foster Care)」の見学およびレクチャーをした。この目的は、様々な行動の障害によって社会生活や学校で不適応を示している若者に対して、日本でいう専門的里親的な役割を持つFoster care giverによる支援を中心に、家族と地域、学校をトータルにマネージメントしていくシステムについての知見を得るためである。若者の支援は、家族と学校・地域の連携が必要であり、この点についても、非常に有益な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)平成23年度の実施計画の一つに、中学校・高等学校の養護教員、医療機関のPSW等に対して、思春期・青年期で抱える生活困難に対する調査を行う予定となっていたが、この点については調査を行うことはできなかった。理由は、東日本震災の影響で研究を開始する時期が遅れたためと、本年度は、まず、国内外で実践されている若者に対するプログラムについての先行研究(実践)についての資料と情報を集めることを先決としたことによる。 しかし、ニュージーランドにおける早期介入の過渡的プログラム(Youth Transtitional Programm)の視察は本研究において、非常に具体的な方法を情報として得ることができた。併せて、複合的フォスターケア(Multidimensional Treatment Foster Care)の視察をできたことは、若者支援のためのシステマティックな体制づくりが重要であることを認識することができて、本研究推進のために有益な地検をえることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、先行研究、およびニュージーランドで得られた若者への過渡的プログラムの詳細な分析を行い、我が国の実情に合わせた形でのプログラム案を作成することが大きな目標となる。そのために、平成23年度では実施できなかった、若者の生活困難(学校、社会生活など)についての実態把握を行う。 また、国内で若者支援を行っているプログラムの見学も積極的に行い、実態把握に努めていく。 そのうえで、プログラムの内容を検討し、必要な環境整備、スタッフが必要とするスキル、使用するマニュアルなどについて精査する。平成25年度の試行的実践にむけての準備の年度とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、まず、平成23年度で達成することができなかった、思春期・青年期で抱える生活困難に関する調査を主に支援者側である医療機関の精神保健福祉士、中学校、高等学校の養護教員などから得るための調査費用として使用する。 ニュージーランドで取集した資料等の翻訳に要する謝礼、および、国内資料等の整理、収集したデータの整理分析の謝金。 思春期・青年期のための過渡的プログラムの原案を作成するために、研究協力者との打合せ、研究協力機関との連携等のために旅費として使用する。また、オーソリティからのアドバイスに対して謝金を支払う。 過渡的プログラム(案)に基づいたマニュアル作成と、スタッフ研修のための経費として使用する。
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