研究課題/領域番号 |
23530743
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
森谷 就慶 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 准教授 (80382696)
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キーワード | 精神障害 / 就労支援 / 就労移行 / 国際生活機能分類 / 前向き追跡調査 |
研究概要 |
本研究は、国際生活機能分類(ICF;International Classification of Functioning Disability and Health)から、精神障害者の生活能力を簡便に測定し、就労支援の可能性を予測できる「就労支援アセスメントツール」を開発し、前向き追跡調査から就労に必要な能力と求められる支援内容を明らかにすることを目的としている。 具体的には、以下4点から検討を進めている。(1)精神障害者の精神症状と生活技能から就労可能性を予測できる「就労支援アセスメントツール」の開発、(2)退院から就労までの経過の実態把握、(3)就労の有無に影響を与える要因の解明、(4)実証データに基づく科学的かつ合理的な就労支援の検討の視点から検討を行う。 現在、回答済み調査票の回収およびデータ集計・分析の途上であり、その中間経過の報告であるが、①利用者の属性から、単身生活者より家族と同居している者の方が「就労」を目標にする傾向にあることが明らかになった。②ICFに基づく支援項目において、サービス開始時点で医療機関と福祉機関において、利用者間の特徴に違いは見いだせなかったが、支援量(利用時間)については、福祉機関より医療機関が多かった。③支援項目別では、『動機付け』『注意の維持』『注意の移動』について支援量の減少がみられた。④サービス終了時に、支援量(診察の頻度、他サービス機関の利用時間)に大きな変化はなかった。 今後はサービス終了者の支援量の変化から、精神障害者の就労移行の特徴を描く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精神障害者の生活技能の評価及び就労支援における評価に関し、医療及び福祉領域における既存の知見と予備調査から得られたデータと比較検討を行い、その結果から、就労支援における評価として妥当な指標の抽出、調査項目の選定を行い調査票を作成した。 調査はA県内の公開情報から調査協力の内諾を得られた施設 (病院・クリニックの精神科デイケア、障害福祉サービス事業所等 )63施設に依頼し、現在迄14施設から回答を得ている。今後は、調査対象者を増やすとともに、フォローアップも確実に行っていきたい。 これまでの調査結果から、以下4点が明らかになった。①利用者の属性から、単身生活者より家族と同居している者の方が「就労」を目標にする傾向にあることが明らかになった。②ICF支援項目では、サービス開始時点で医療機関と福祉機関での利用者間の特徴は見いだせなかったが、支援量(利用時間)については、福祉機関より医療機関が多かった。③支援項目別では、『動機付け』『注意の維持』『注意の移動』について支援量の減少がみられた。④サービス終了時に他の支援量(診察の頻度、他サービス機関の利用時間)にも大きな変化はなかった。 東日本大震災の影響による協力機関への負担を考慮し、調査が遅れているが、今後は現在フォローアップ中の対象者の追加データをもとに、実証データに基づく科学的かつ合理的な精神障害者の就労支援の特徴を描く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23、24年度に得られた前向き追跡調査の結果を基に、利用者のサービス開始時とサービス終了時の生活機能の比較を行い、①就労支援ステージの分類とそのステージにあったサービス供給量の予測、②就労支援量の予測(目標、時間)について得られたデータの解析を進める。 さらに、就労した者や施設終了後の利用者の同意が得られれば、就労支援担当者を通じて可能な限り就労継続の期間についてフォローアップを行う。回収した調査票については、随時電子化し遅滞なきよう分析を行い、その保管にも十分に注意する。 引き続き東日本大震災の影響による協力機関への負担を最小限に留める工夫を常に念頭に置きながら、調査の運営・管理については万全な配慮を行い遂行にあたる。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査を遂行するのに必要な消耗品および調査協力の謝金、必要となる物品等の購入等の支出を予定している。 設備備品としては、今後出版刊行される精神科リハビリテーション、障害者職業リハビリテーション関連の図書購入費が必要となる。また、消耗品としては、データ解析に関するソフト、およびプリンタ用トナー、CP用紙、記録媒体等の購入がある。 国内旅費は、調査に関し、協力機関への依頼、打ち合わせ及び進行に関する打ち合わせのものである。研究成果については、第4回東北精神保健福祉学会、第51回日本医療・病院管理学会学術総会において発表、および論文投稿を予定している。 人件費としては、調査協力や研究について協力・助言を頂いた方への謝金、データ入力アルバイト、統計処理業者への依頼等がある。そのほかに調査票印刷費および調査協力機関への郵送通信費(調査票送付・返信)も調査の運営管理上において欠くことが出来ない。
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