研究課題/領域番号 |
23530750
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
藤森 雄介 淑徳大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (20364896)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 仏教社会福祉 / 社会福祉史 / 融通念仏宗 / 児童福祉 |
研究概要 |
平成23年度当初の研究計画としては、1.必要な史料についてのデジタルデータ化の作業、2.周辺史資料の収集、3.宗門関係者へのインタビュー調査の実施、といった3点の項目をあげていたが、改めて研究の方向性を確認した結果、大念仏寺社会事業団の『55年史』の作成までを見据た場合、未整理の2001年から2005年の史料群についても整理してデータベース化する必要があり、(当初の研究計画にはなかったが)その作業をまず最優先で行う事になった。 特に平成以降の史料については点数も多く、そもそも「何をどこまで保存するのか」等といった部分で意見の分かれるものもあったが、まずは出来るだけ多くの史料を保存しておくとの観点から夏以降複数回の打ち合わせや事前準備を行い、平成23年12月と平成24年2月の2回、各6名の学生に作業補助の協力も頂いて、それぞれ3日間、同事業団内で史料群の整理とデータベース化作業を同時進行で行った結果、同事業団設立時の昭和31年から平成17年までの50年分のデータベース化をほぼ完了することができた。 ちなみに、平成23年度以前に行った調査研究の成果として、2011年8月発行の『淑徳社会福祉研究』第18号に、「大念仏寺社会事業団所蔵史料の目録(暫定版)と今後の仏教社会福祉事業実践に関する事例的研究の方向性について」(61~108頁)を発表したが、平成24年度については、作成したデータベースを基に、「目録」の確定版を完成、発表していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、平成23年3月11日の東日本大震災の発生とその後の所属機関に関連する諸対応を行った結果、計画書提出時点では想定していなかった業務が発生し、研究の実質的なスタートが遅れたという外的要因があった。 また当初の計画では、平成23年度以前までに行っていた2000年までの史料のデータベースに基づいた研究であったが、大念仏寺社会事業団の『55年史』の作成までを見据えた場合、区切りの意味でも50年分の史料を整理して目録化しておくという必要性が明らかとなったため、その作業を最優先として行った。 その結果、1.必要な史料についてのデジタルデータ化の作業については候補史料の選定に留まり、2.周辺史資料の収集についても個人のレベルでの時間が許す範囲での確認までしか行えておらず、3.宗門関係者へのインタビュー調査の実施については実施することができまかった。 よって、平成24年度の達成度としては、当初の予定になかったデータベース化によって基本史料をより充実するという成果は得られたが、当初の計画としては「遅れている」と自己評価せざるを得ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは作業を完了したデータベスを基に、「大念仏寺社会事業団所蔵史料(昭和31年~平成17年)目録」の確定版を速やかに発表し、その上で、遅れている研究計画を予定のサイクルで行っていけるよう大念仏寺社会事業団ともより一層の協力して研究を進めていく。 特に昨年度実施できなかった3.宗門関係者へのインタビュー調査については必ず実現できるよう準備を進めるとともに、補完的な調査として同事業団と同程度以上の歴史的背景を持つ、もしくは仏教理念を背景に持つ社会福祉施設へ史料保管等に関するインタビュー調査等も実施し、史料の保管状況等も踏まえたアーカイブズに関連する課題についても検討を加えていきたい。 また、(これは当初の研究計画の項目にはなかった点であるが)東日本大震災以降の現状を受け止めなつつ、改めて公益性を持つ施設や組織が行う「記録」の重要性についても検討を行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に助成して頂く予定の直接経費は700,000円の大半は、旅費として使用することになる。その主たる理由としては、まず大念仏寺社会事業団所蔵史料については「現地主義」の立場から重要な資料も含めてすべて同事業団にて保管しているため、史料の確認やデジタルデータ化の作業に際しても大阪に出向いて行う必要があるため、また同事業団に関する宗門関係者等へのインタビューを行うに際しても、関西方面在住の方々になる可能性が大いにあるためである。 更に補完的に調査として行う福祉施設への史料保管等に関するインタビュー等の調査についても、(先方の承諾次第ではあるが)遠方の施設で行う可能性がある。 なお、デジタルデータ化した史料を研究会等で有効に活用するため、設備備品費を活用して、タブレット型のPCの導入も検討したいと考えている。
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