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2011 年度 実施状況報告書

ソーシャルワーク方法理論生成に関する実証研究-アルコール依存症者の語りから-

研究課題

研究課題/領域番号 23530759
研究機関東海大学

研究代表者

稗田 里香  東海大学, 健康科学部, 講師 (30439715)

研究分担者 北川 清一  明治学院大学, 社会学部, 教授 (50128849)
志村 健一  東洋大学, 社会学部, 教授 (20265119)
稲垣 美加子  淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30318688)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード可視化 / 理論生成
研究概要

平成23年度は、すでにライフストーリー・インタビュー法によって収集したアルコール依存症者のデマンズの解決過程に関するテクストと、そこに介在したソーシャルワーク実践の支援過程を記録したケース記録をデータ化(可視化)した。 これらのデータを、全7回(うち1回は宿泊研究)の研究会を通して、継続的比較分析法(オリジナル版グラウンデッド・セオリー)によって分析した。具体的には、オープンコーディングを実施して浮上した94のコンセプトを生成しながら、理論メモを作成した。また理論メモの作成において、一枚の理論メモを作成する過程で新たな理論メモが作成される体験を共有した。これらの分析を通して、ソーシャルワーク方法理論を生成すべく、「リカバリーの3次元構造」とする理論的飽和に至り、これを、仮説的核概念と捉えることとした。 また、この核概念を可視化するために、東海大学情報通信学部情報メディア学科濱本研究室より、具体的な理論、スキル、方法などについてコンサルテーションを計4回受けながら、構造化の実現を目指す手掛かりを得た。 これらの研究と並行して、アルコール依存症者が患う病いの意味と本質的な課題を捉えるために、哲学の専門家、社会福祉学の研究者、社会福祉実践現場のソーシャルワーカーよりコンサルテーションを受け、客観主義、社会構成主義について知見を得ながら、アルコール依存症の患いについて文献研究を中心に行い考察を深めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、以下の2点である。1.新たなソーシャルワーク方法理論の生成:従来、接近困難とされていた複雑で深刻なデマンズの解決方法をアルコール依存症者の語りを手がかりに可視化し、そこに介在するソーシャルワークの有効性を検証することによって、具体的なソーシャルワーク方法理論の生成を試みる。2.生成したソーシャルワーク方法理論の有効性の検証:仮説的に生成したソーシャルワーク方法理論を基に、現任ソーシャルワーカーが活用できる「支援ガイド(仮称)」を開発し、同ガイドを試行することで有効性の検証を試みる。 平成23年度の研究計画は、「デマンズの解決過程とソーシャルワーク実践過程の可視化及びソーシャルワーク方法理論の生成」であったが、研究実績で既述したように、インタビューによって得られたデータを、全7回の研究会を通して、継続的比較分析法(オリジナル版グラウンデッド・セオリー)によって分析しすることができた。これらの分析を通して、理論的飽和に至り、仮説的核概念を抽出することができた。また、この核概念を可視化するために、情報メディアの専門家よりコンサルテーションを受けることができ、具体的な理論、スキル、方法などについて構造化の実現を目指す手掛かりを得た。さらに、これらの研究と並行して、アルコール依存症者が患う病いの意味と本質的な課題を捉えるために、哲学の専門家らより、客観主義、社会構成主義について知見を得ながら、アルコール依存症の患いについて考察を深めることができた。 以上のことから、研究目的1についてはおおむね達成されたと言える。

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究目的は、実践の理論化とソーシャルワーク実践方法の開発及び「支援ガイド」の作成である。具体的には、平成23年度に構築した仮説的核概念の妥当性をクリティカル・ソーシャルワークにおける脱構築分析法に依拠し、既存のアルコール依存症者への支援に関する事例研究、文献研究を進めながら、その妥当性を検証する。その上で、アルコール依存のデマンズ解決過程に有効なソーシャルワーク実践のさらなる理論化をすすめ、具体的な実践方法を開発する。それらをまとめたものを、「アルコール支援ガイド(仮称)」として作成する。なお、実践方法を開発する際には、本研究組織の研究者以外に、アルコール依存症者への支援に精通したベテランの現任ソーシャルワーカー複数人を加え事例研究法を用いて検討し、これを「支援ガイド」作成につなげる。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度の研究は予定通り完了し、研究費6005円が残り、平成24年度に繰り越しとなった。その繰り越し分は、図書費に入れることとし、以下の通り研究費の使用について計画した。 物品費については、継続的比較分析によって得られたコアカテゴリーを理論生成したり、「支援ガイド」を開発する際に文献研究が必須であることから、文献を収集するための図書費と情報整理のファイルなどの文具、コピー代等文具が必要である(66005円)。データ処理の費用については、事例研究やインタビューによって得られた音声データのテープ起こしの委託費が必要である(50000円)。また、研究会の実施にかかる会場費、食事代が必要である(30000円)。謝金については、事例研究、インタビューを行う際の対象者(5~10人程度)に、また、実践方法を開発する際に現任ソーシャルワーカー(5人程度)に協力を求め、協働で開発する際に必要とする(300000円)。また、得られたデータを整理するために人件費を必要とする(40000円)旅費については、研究者全員による分析を前提とし集中して行うことが効果的であるため、連続した日程を要するため、宿泊を必要とする。また、事例研究やインタビューは、地方で実践しているソーシャルワーカーと協働することを予定しているため、宿泊と旅費が必要となる(250000円)。データ公表にかかわる費用については、「支援ガイド」を作成する印刷費を必要とする(70000円)。合計額 806005円

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公開日: 2013-07-10  

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