研究課題/領域番号 |
23530760
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹之内 章代 東海大学, 健康科学部, 講師 (90296062)
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研究分担者 |
三浦 剛 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (00209719)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 知的障害福祉 / 福祉専門職 / 研修プログラム開発・評価 |
研究概要 |
【研修プログラムについて】先行研究やこれまでの研究者らの実績に基づいて作成した障がい児者福祉にかかわる専門職のスキルアップのための研修プログラムを、2011年11月から数回にわたりA市において試行し、現地のニーズを勘案し,以下のような内容で作成した。(1)相談支援の基礎(3時間)(2)支援計画作成方法(3時間)(3)社会資源の連携、ネットワーク形成の方法(3時間)【研修プログラムの実施とデータの収集】上記のプログラムを2012年1月、2月に3回実施した。同時に研修前後に以下の2通りのアンケートを実施した。((1)自己課題への意識とその達成度の確認(2)視点、態度などの変容)。また、研修後それぞれの回で、参加者から形成したグループにグループインタビューを行い、地域生活支援に関する連携やネットワーキングへの意識に関する質的データの収集を行った。【結果の概要】アンケートの分析は(1)に関しては回答をカテゴライズした。結果、キーワードとして「利用者の立場に立つことの意味がわかった」「自己完結型のサービスの限界がわかり、ネットワーク形成の重要性が理解できた」など、これからの知的障がい児者の地域生活支援に必要な視点が述べられていた。(2)に関しては「利用者の権利を意識できる」「利用者の立場で考えられる」「社会資源と利用者をむすびつけることが大切である」など、先行研究結果や研究者らが「望ましい」を考える方向への尺度得点の変化などが確認された。なお、グループインタビュー結果をシステム図として表現したところ、これもシステムの要素が整理され、その関連性が示されるように、それが展開していく方向に進んでいくことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで仮説して実施してきた知的障がい児者の地域生活支援に携わる専門職の研修プログラム、内容、方法ともに整理し、具体化することができた。研修プログラムの作成については、これから多少の修正は加える必要が生じる可能性はあるもののほぼ90%達成し、今後の研究に使用する。 設定した研修プログラムの前後の比較分析による効果測定は、3回50人分のデータを自由記述分析、尺度を中心とした意識、態度の変容を分析することによって一定のデータを得た。この点に関しては、80%の達成状況と考えている。同様のプログラムを異なる対象に実施し検討する課題が残っている。 グループインタビューによる、主に地域生活支援に必要なネットワーク形成や他職種連携に関する「システム的思考」を軸位とした評価は、研修プログラム終了後もシステムの具体的な設計作業として継続していくので、その目途である本年9月まで3回程度継続する予定である。そのためこの点についてはデータ収集の量からも70%程度の達成度である。 総じて本年度の研究計画の達成度は80%程度の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
【研修プログラムについて】今年度の研修で実施してきた研修プログラムを、異なる対象での適用を行い、そこでデータの収集をし、今年度得た結果と合わせデータの妥当性の検討を行う。また、今年度グループインタビューにおいて得られた結果である「システム的思考」を軸位としたデータ収集を、グループインタビューを継続して行う。【成果の公表】知的障がい児者の地域生活支援に関するスキルアップ研修プログラムの内容、方法等、研修プログラムの評価結果を学会などで公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用予定の研究費が生じた状況とそれに対する次年度使用計画を1から3に記す。項目の4は平成23年度の当初に次年度執行分とされていた研究費の使用計画である。1.研修やグループインタビューなどの記録を実施するためのビデオカメラの購入を予定していたが、タイの洪水によりメーカに在庫のない状態が生じていたため購入が期限内にできない状況となった。次年度にはこのような状況は改善されているので、購入を予定している。2.ホワイトボードの購入数が1台減になっているが、購入した物が大きく研修会場への搬入が困難だったため、打ち合わせやグループインタビュー用使用を2台購入したが、来年度に向けては研修会場に持ち込めるような小型のホワイトボードを購入したい。3.グループインタビュー等の協力者への謝金を想定していたが、公務員のメンバーが今年度は多数を占め、支出がほとんどなかったためである。次年度におこなうインタビューやデータ資料の整理の謝金等として支出する予定である。4.来年度執行分については、研修等で使用する消耗品の他、研修プログラム実施のための打ち合わせや研修に出向くための旅費、グループインタビューにかかる旅費及び謝金、さらに研修やグループインタビューで得たデータの整理分析のための賃金及び成果の公表(学会等での研究報告)への旅費に対して支出予定である。
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