23年度は、知的障がい児者への支援の質の向上をめざした「現任研修プログラム」を作成した。このプログラムは、研究代表者らがこれまでの研究で検討してきた、利用者理解の視点と支援態度の獲得に加え地域生活支援を具体化する個別計画作成技術の習得を目指したものである。年度後半はプログラムを試行的に実施し、プログラムの効果測定のための評価方法の検討を実施した。 24年度は、評価方法として態度尺度、自由記述による満足度、研修中に作成する成果物によるポートフォリオ・アセスメントからなる「研修評価システム」を作成した。その後、震災の影響で、知的障がい、発達障がい児の地域支援の必要性が高まるA市において、障害福祉サービス事業所職員、保育士、幼稚園教諭、保健師、行政担当者らを対象とした現任研修プログラムを実施し、評価データを収集した。 今年度はこの評価データの分析をし結果は、3点にまとめられる。1.態度尺度得点の研修前後の変化は、概ね「望ましい」と考えられる方向に変化した。2.研修の満足度に関する自由記述の質的分析では、子どもと子育て家庭の親の立場から見ることができるようになったこと、「相談」技術の必要性の認識が高まり、基礎部分の習得ができたこと、連携、ネットワークの必要性が認識できたこと、を抽出した。3.ポートフォリオ評価では、研修中に作成したエコマップやシステム図の比較から、図中に「つながり」が示せるようになったことがわかった。 また、年度後半は研修終了者によるワーキンググループが形成され、実際の支援システム作りが行ったため、主にポートフォリオ評価を実施した。そこからは研修によって得られた、利用者理解の視点が、その支援においては、個別支援計画を中心においた、多機関の連携、ネットワークによってなされるシステム図や住民への説明資料として作成できるようになった。これらが具体的な成果としてあげられた。
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