東日本大震災の被災地である大槌で民設民営公認の避難所臼澤鹿子踊伝承館において参与観察、および関係者へのヒアリングを行った。また、フィリピンやスリランカの事例について文献及び実地調査より以下の結論をまとめた。 災害復興の人材育成は人間の復興、人権の回復のために復興支援者の養成である。被災した全ての人びとの人権を促進し、公平と無差別の原則に基づきながら、人権侵害のリスクが高い状態にある個人および人びとを優先して保護しなければならない。 復興支援活動は、現地の被災した人びと主体で行い、あらゆるセクターでの復興支援について、コミュニティそのものが活動し、主体的に関わり、管理できるような環境を整える、コミュニティの自助およびソーシャルサポートを強める原則で行わなければならない。 各共同体における適切な文化上・スピリチュアル・宗教上の癒しを行える環境を整えることが重要な課題である。そのためにはソーシャルワーカー、NGOスタッフ、地域のリーダーおよびボランティアへの研修が必要となる。以下に留意して人材育成を行う必要がある。ソーシャルワーク専門職は中長期の復興に向けてコミュニティそのものが活動し、主体的に関わり、「公助」、「互助」、「自助」のネットワークを形成し管理できるような環境を整える。 ソーシャルワーク人材育成については緊急時、中長期の復興支援に対応できる人材とそれを支える組織を整備する必要がある。災害に備えた人材派遣、地域防災組織、防災計画、資金計画をナショナル・ローカル多様なレベルで策定する必要がある。中長期の復興支援については従来の制度別ソーシャルワークの枠を越え社会開発型ソーシャルワーク、コミュニティ開発、コミュニティオーガナイズができるソーシャルワーカーのあり方について考えて行かなければならない。
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