研究課題/領域番号 |
23530764
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
添田 正揮 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (90409251)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク / 外国にルーツを持つ人 / 国際人口移動 / 移住 / 人身取引 |
研究概要 |
平成23年度は,外国にルーツを持つ人に対するソーシャルワークまたは支援の現状に関する調査内容および項目を精査することを目的として,国内外において実際に外国にルーツを持つ人への支援を行っているエキスパートにインタビューを実施した. 国内では,家庭内暴力(DV)や人身取引の被害を受けた外国籍女性とその子女を支援しているNPO法人のワーカーにインタビュー調査を実施した.また,国外では,人身取引によって労働搾取や抑圧を受けているタイ人の支援とコミュニティ・ディベロップメントを展開しているアメリカ・ロサンゼルスのThai Community Development Center(CDC)と人身取引の被害者の支援を専門的に展開している組織であるCoalition to Abolish Slavery & Trafficking(CAST)のワーカーにインタビューを実施した. 調査を踏まえ外国にルーツを持つ人に対する領域においてワーカーとして実践するためには,(1)ワーカーに求められる価値・資質・機能・役割,(2)必要とされるコミュニケーション能力と方法,(3)適切なケースマネジメントの実施,(4)利用者の国や文化の知識と文化的特性の理解,(5)民法や国籍法などの法律の知識,(6)当事者支援(ピアサポート)の意義と課題の理解,(7)スタッフの研修,(8)日本人スタッフ限界,(9)ソーシャルワーカーの養成,(10)地域住民に対する啓発活動,(11)支援組織間のネットワークの構築,(12)国境を越えたネットワークの構築,(13)地域福祉の展開,が課題になることを確認した.移住や人身取引など国際人口移動を背景とする利用者の生活問題の解決のためには国境を越えた人間の安全保障を整備し,利用者の生活問題を解決していくためには,エキスパートを養成するだけではなく,所属する組織の体制を整備し,組織間のネットワークを構築していく必要性があることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際人口移動に伴う社会の多文化化ならびに国際化により,ソーシャルワークの対象となる人々も日本国籍を有する人だけではなく,外国にルーツを持つ人々が増えてきている.このような多文化社会において求められるソーシャルワークすなわち多文化ソーシャルワークのあるべき姿に対して、実際の支援現場では対応ができているのかを明らかにすることが重要である.そして,対応できていない理由や改善方法を検討していくことが必要となる. 以上のような多文化ソーシャルワークを展開するための「促進要因」と「阻害要因」を調査を通じて明らかにすることが本研究の目的の一つであり,「多文化・多様化社会で生活している人々の問題を解決する実践力」が明確になれば、人材の養成が可能となると考えられる. 本年度は,外国にルーツを持つ人に対して支援を行っているエキスパートにインタビューを実施することを通じて,促進要因と阻害要因を明らかにするための調査項目を作成するための情報を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,次の3点を中心に研究を進める.(1)インタビュー調査の結果を踏まえ,外国にルーツを持つ利用者に対する支援を展開している組織や団体に対してアンケート調査を実施する.(2)エキスパートに対するインタビュー調査を継続的に実施し,人材養成プログラムの作成のためのコンピテンスの明確化を行う.(3)外国にルーツを持つ利用者を視野に入れた実習教育プログラムモデルと教材(指導内容、指導計画、指導法、評価法、演習、コンピテンシー)等に関する文献調査を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(設備備品費:図書購入100,000円,消耗品費4,000円)旅費(外国旅費350,000円,国内旅費325,000円)その他(切手代21,000円)
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