IMR(リカバリーと病気の自己管理プログラム)は統合失調症や感情障害をわずらう精神障害者を対象とした、リカバリー志向の、科学的根拠に基づく実践プログラムである。本研究は、地域の障害者支援施設におけるIMR等実施の阻害要因・促進要因を明らかにすること、及びIMR実践の効果を検証することを目的に行った。【研究内容】研究①:地域の障害者支援施設・デイケアにおけるEBP実践の促進・阻害要因、研究②:〔IMRの効果検討I〕IMR修了者とIMR参加前の者との比較、研究③:IMR実践のフィデリティ調査、研究④:IMRのグループ・スーパービジョンの質的調査、研究⑤:〔IMRの効果検討II〕IMR参加前・後・3ヶ月後の比較、を実施した。【研究の成果】研究①:都内190か所(回収率28.7)から回答を得て、IMR実施意向には「組織の姿勢」と「IMRの認知度」が影響し、EBPの実施には「研修の機会の確保」と「スタッフのスキルアップ」が阻害(促進)要因としてあげられた。研究②:GAF 、職員評価によるIMR 尺度総得点、ケア必要度に、望ましい方向での有意差がみられた。研究③:「他者の関与」と、「認知行動的技法」の点数は低かったが、その他「対処技能訓練」、「再発防止訓練」等11項目は非常に高く維持されていた。研究④:実施上の課題は目標やチャレンジ課題の立て方等であり、実施上の利点は参加者の相互作用の向上、リカバリーへの前進、スタッフの利用者理解の促進等であった。研究⑤:実践研究には4施設(就労継続支援B型事業所)の参加が得られ、参加者は男性16名女性8名、平均年齢:42.4歳であった。GAFが3ケ月後に事前と比べ有意に改善し、ケア必要度の「緊急時の対応」下位尺度が、事前と比べ事後に有意に改善した。
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