研究課題/領域番号 |
23530772
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研究機関 | 長野大学 |
研究代表者 |
越田 明子 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (70352458)
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キーワード | 小規模自治体 / 過疎高齢化 / 介護・福祉運営 / 介護保険 / 福祉政策 / 生活支援ハウス |
研究概要 |
本研究は、過疎高齢化の著しい小規模自治体における介護・福祉運営のあり方について検討することを目的とした。人口1万人以下の小規模自治体の解消を視野にいれた市町村合併が推進され全国市町村数は半減した。しかし数として減少したものの存続する小規模自治体の多くは、転出超過による人口減少や高い高齢化率、低い財政力といった特徴としてもつ過疎自治体である。とりわけ人口5,000人以下となると離島や中山間地域に多く、生活問題をかかえる高齢者は、単身もしくは夫婦世帯の虚弱な低所得者であり、過疎高齢化によって近隣らの相互扶助関係に支援を期待することはできず、高齢者の地域居住には課題が山積している。このような高齢者を地域の実情に応じて支援する今日の介護・福祉運営システムは市町村を中心に展開されており、過疎高齢化が著しい小規模自治体においては、既存の介護保険事業のみならず自治体独自の福祉サービスへの期待は大きい。本研究で着目した「生活支援ハウス」は、独立して生活するには不安のある高齢者に対し、介護支援機能、居住機能、交流機能を総合的に提供する小規模多機能型施設であり、設置や運営については自治体裁量で柔軟に対応できる福祉施策の一つである。 このような背景を経て、平成25年度までは「生活支援ハウス」を設置している30自治体(40施設)を対象に訪問または質問紙による継続的調査を実施し、自治体独自の福祉運営の実際として地域や高齢者のニーズと自治体のニーズを確認してきた。併せて生活支援ハウス設置に関連した国の制度政策的意図と、自治体の設置運営の取り組みの関係について検討してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力の得られた生活支援ハウスを設置運営する小規模自治体への訪問調査および質問紙調査の結果を分析してきた。当初予測以上の自治体から協力を得たため、分析すべきデータが多くなった。また県内市町村の介護保険事業実績に関するデータと、これらのデータを分析しているため、若干の時間を要してきた。研究成果の公開時期も遅れており早急にすすめたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、小規模自治体における自治体独自の福祉運営のみならず介護保険事業との関連も含めて、成果を公開しながら協力自治体への中間報告、意見交換を通して、論文および研究成果報告書の作成に取り組む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度までは、調査対象を県内自治体を対象としていたことに加え、自治体担当への訪問が平日に限定されていた。当初公共交通機関での移動として旅費計算していたが、公共交通機関の便数が少ないため平日の訪問調査日程の調整が滞り、当初予定より出張回数が少なく旅費出費が低く抑えられたため。 本研究の結果をより一般化させるために、他県の生活支援ハウスを設置運営している自治体の介護・福祉運営についてヒアリングを目的としての訪問を予定している。主に調査に関する旅費と研究成果発表のための旅費を予定している。
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