研究課題/領域番号 |
23530773
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
宮嶋 淳 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00454299)
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キーワード | 生殖医療 / 国際調査 / 対話 / ニュージーランド / ソーシャルワーク |
研究概要 |
2012年度における当該研究は、第三者の関わる生殖医療に関する法整備が進んでいるニュージーランドの動向をヒアリング調査し、その結果を①ソーシャルワークにおける国際会議、並びに②国内医療系学会において発表した。 国際ソーシャルワークの領域において、第三者の関わる生殖医療は、国境を越えた生殖サービスの是非論として議論されており、その理念とルールづくりが求められている。そのような中で報告者は、ニュージーランドの調査から示唆を得て、ソーシャル・インクルージョンの理念に基づき、社会的排除のない、第三者の関わる生殖医療を選んだ者とそれにより生まれてきた子どもの「対話」並びに関係者との共同の必要性を明確化した。すなわち、第三者の関わる生殖医療を選んだ者とそれにより生まれた子どもの「対話」を成り立たせるためには、医療福祉学をベースとした、ソーシャルワーク理論でいうナラティブ・アプローチやエコロジカル・アプローチ、さらには修復的対話アプローチを駆使して構成する「生殖ケア・ソーシャルワーク理論」の体系化と実践が必要であることを主張した。 第二に、医療系学会においては、第三者の関わる生殖医療を、個人的な「福音」から社会化していくためには、第三者の関わる生殖医療を選んだ者とそれにより生まれた子ども、両者のQOL並びにHuman Well-beingの成立が不可欠である。その両立のためには「私益」を「公益」に転換していく方策・施策が求められ、長く続く閉じられた生殖医療は「社会的虐待」と呼べる重層的な人権侵害に陥りかねないとの示唆を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来業務との兼ね合いで、国外調査のスケジュール管理が難しく、予定よりやや遅れた進行状況である。しかし、2013年3月に所定の調査を実施しており、必要となるデータは取得することができた。取得するに至ったデータを2013年度第一四半期中に分析し、第二四半期に最終調査を行い、研究を完成させるための分析に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「第三者の関わる生殖技術」と「ソーシャルワーク」とを連結させて、学際的な成果を構築しようとするところに特徴がある。したがって、今後、医療と福祉の橋渡しをねらった研究の推進、並びに研究成果の公表を図っていきたい。 また、政策上の動きが活発してきていることもあり、政策への一助となる成果が早期に形成できることも期待されていると認識しつつ、研究を推進したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、ニュージーランドのHuman Assisted Reproductive Technology Act を所管する健康局と関連機関の調査 2、国内での体外受精成立後の生殖医療学の進捗状況の整理・分析 3、生殖医療学の到達点の、福祉系学会への紹介と議論 4、研究成果物の作成
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