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2013 年度 実施状況報告書

児童養護施設卒園者の生活史分析による「自立支援」の再評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530776
研究機関金城学院大学

研究代表者

原 史子  金城学院大学, 人間科学部, 教授 (20300147)

キーワード社会的養護 / 児童養護施設 / 自立支援
研究概要

2013(平成25)年度の研究実績として次の3点を挙げることができる。
1.調査対象とした児童養護施設の関連機関である児童相談所の児童福祉司、学校教諭へヒアリングを実施した。児童相談所では「要養護児童およびその家族に対する児童相談所のかかわり、特に、施設選択、児童への家族状況の告知、施設入所中の児童・家族へのかかわり」について、学校では「児童養護施設入所児童の自立に学校教育が果たしてきた役割」についてヒアリングを実施した。児童相談所児童福祉司へのヒアリングでは、里親委託か施設入所か、またどの里親に委託するか・どの施設に入所させるかなどについて、担当児童福祉司であるからこそ知りうる里親家族の状況、施設の状況、さらには要養護児童および家族の状況など極めて多様かつ個別的情報に基づき措置委託先の判断がなされていることが明らかとなった。学校教諭へのヒアリングでは、施設との連携が極めて重要であること、また、学校は施設入所児童にとって施設とはまた異なり学習を通して心身を鍛える場として重要であることが確認できた。
2.2012(平成24)年度に実施した児童養護施設卒園者の生活史調査内容について逐語録を作成した。
3.アメリカ合衆国ハワイ州に所在するNPO法人Epic Ohanaにて、当該法人が実施している要養護児童の問題解決プログラムでありアメリカ合衆国で文化に根ざしたベストプラクティスとされているOhana Conferencingを主としたヒアリングを実施した。オハナ・カンファレンスは、要養護児童に関係する家族・親族・友人知人・近隣住民等のそれぞれができる支援内容について具体的に協議をする場である。当事者も参加し当事者主権が尊重されるとともに、ハワイ文化の特徴的な拡大家族集団が色濃く反映された支援であった。日本でも現代日本の社会・地域状況に根ざした支援のあり方を構築していくことの重要性があらためて認識させられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は当初の補助事業期間を2011(平成23)年度~2013(平成25)年度としていたが、2014(平成26)年度まで期間延長を申請し承認して頂いた。遅れの最大の要因は、生活史調査の実施と逐語録の作成に予想以上の時間を要したことにある。さらに予定していた社会的養護経験者の支援団体への聞き取り調査について、双方の事情により調査のための期日を確保することができず進捗が遅れた。

今後の研究の推進方策

本研究では児童養護施設入所中の自立支援のあり方を施設卒園者の生活史分析を通して検討することを主な研究課題としていた。しかし2012(平成24)年度に実施した生活史調査を通し、施設退所後の具体的な生活支援の必要性を強く認識することとなった。そのため、施設退所後の生活支援をも視野に入れ、社会的養護経験者の支援団体への調査も含めて研究を進めることとした。近年では社会的養護経験者の支援団体が全国で設立されはじめ先駆的な活動を行っているため、そのような団体への聞き取り調査を実施する。
また、2014(平成26)年度は研究の最終年度であるため、逐語録を作成した生活史調査の分析をすすめるとともに、これまでに実施してきた調査をまとめ研究報告等を実施する予定である。

次年度の研究費の使用計画

本研究は①児童養護施設の退所者調査、②施設退所者へのインタビューおよび関連機関への聞き取り、③社会的養護経験者支援団体への聞き取り調査で構成されている。
2011(平成23)年度に①を、2012(平成24)年度に②のインタビュー調査を実施し、2013(平成25)年度に②の関連機関への聞き取りの一部は実施済みである。しかし③については、双方の事情により聞き取り調査期日を確保することができず進捗が遅れており、次年度使用額が生じた。
主に上記③の社会的養護経験者支援団体への聞き取り調査を進めるために使用したい。具体的には、聞き取りを実施する団体への調査協力費、旅費に使用し、予定していた調査を遂行させたい。

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公開日: 2015-05-28  

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