研究課題/領域番号 |
23530778
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
大谷 京子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90434612)
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研究分担者 |
吉田 みゆき 同朋大学, 社会福祉学部, 准教授 (70445930)
寺澤 法弘 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (80548636)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 精神保健福祉士 / 研修プログラム開発 / アセスメント / PSW |
研究概要 |
1.経験年数によるアセスメントの違いを明確にした。 多様な所属機関に属する、経験年数が3年未満のPSW6名を調査協力者として、アセスメントスキルを明らかにし、ベテランとの比較をした。ロールプレイによってクライエントから情報を収集し、アセスメントするまでを実施し、アセスメント項目を検証した。その結果、3年未満の新人もおおむねアセスメントで抑えるべき項目について網羅的に情報収集できていた。しかし、経済的問題や家族関係といった一歩踏み込んだ内容を引き出す情報収集はできておらず、そのためアセスメント内容も表層的なものにとどまっていた。一方ベテランは、家族関係を理解するためのきっかけになる言葉に注目していたり、主訴の背景にあるクライエントの障害受容のできていなさを意識していたりした。つまり項目通りではない質問を投げかけるポイントを、無意識ながらも理解していることが示された。そこで、その無意識だがクライエントを深く理解するためのポイントとしているところを、ベテラン同士は共有しているのかを検証する必要性が明らかになった。 2.アセスメントに焦点づけした先行研究レビューを実施した。その結果、アセスメント項目については膨大な先行研究があるが、クライエントの言葉の背景をいかに理解するか、情報をいかに組み立てるのかという、情報分析から情報構築、さらに最終のアセスメントへ至る方法論については、研究成果が少ないことが明らかになった。 3.アセスメントを組み立てるときに重要になるポイントを明らかにするための、研修を試行した。経験年数3年未満のPSW2名に、あらかじめ事例紹介をしておき、ニーズアセスメントのための面接をロールプレイで実施してもらった。録画しておいたものを、再生しながら振り返る方法と、ロールプレイの途中で介入をする方法との学びの効果を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では達成課題を明確にするというものだったが、達成課題そのものが多岐にわたっており、研究会での検討を重ねた結果、アセスメントに焦点づけすることになった。またアセスメントについての先行研究調査によって、情報収集すべき項目は多様な論者による研究の蓄積があるが、それらの情報分析についての研究は未だ数が少ないことが示された。したがって既存の指標や方法論に基づいた検証よりも先に、方法論構築のための試行錯誤が必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
アセスメントに関する研修プログラム開発を継続する。今後は、当初予定していたインタビュー調査と、研修プログラムの試行、評価指標開発を並行して実施する。研修については、経験年数3年未満に絞ってプログラム開発のための試行を行ってきたが、所属機関別の特徴を踏まえたプログラムについての検討も行う。 さらに、それらの調査研究から得られた成果について、3つの学会での発表と論文を雑誌に掲載すべく努力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度予定していた評価指標開発については、評価すべき焦点をアセスメントに絞ったことで、研究の方向性が変わったため研究費のすべてを使用しなかった。また、課題の焦点づけに時間を割いたため、研究成果発表ができなかった。 研修プログラムの試行のために、新人PSWや所属機関別PSWへのインタビュー調査が必要である。そのため「専門的知識の提供」にかかる費用、インタビューデータの逐語記録化のための委託費、成果発表のための旅費等に使用する予定である。
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