福祉系高校のレリバンスに関する検証命題に照らして量的及び質的研究を考察した.①マクロレベルにおいては,生徒の6割以上が卒業時に2つのタイプ(福祉就職+福祉進学)を選択しており,福祉系高校の創設時に国が企図した福祉専門職の養成に関する成果が示された.また,この割合は国の調査と一致することでデータの裏づけを得た.②メゾレベルのレリバンスは,資格取得に関する高校のタイプによって異なっていた.資格校では資格取得を目指して能動的で反省的な実習を行い,福祉就職する者の割合が高く,教養校では福祉の勉強を入学動機に広く福祉を学び,福祉進学する者の割合が高い結果が示された.従って,高校タイプに合わせた教育課程の編成が重要である.③教員は福祉教育成果の意義を評価して普通教育への拡大が必要だとする反面,生徒の支援に苦慮する現状もみられ,福祉教育を原点から問い直す時期に来ている.④ミクロレベルのレリバンスは,生徒の8割以上が福祉に対する明確な入学動機を持ち,実習を含む学びを通して目的を達成し,9割以上が肯定的な評価をしている.⑤ミクロレベルのレリバンスは,「職業的レリバンス」,「教育的レリバンス」,「負のレリバンス」から構築され,入学動機や実習経験,進路選択タイプなどによって複雑で多様な要素が見出された.⑥以上のことから,マクロ,メゾ,ミクロの各レベルにおいて多元的なレリバンスが認められるとともに,各レベルにおいて取り組むべき課題も明らかにされた.
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