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2012 年度 実施状況報告書

地域活支援を展開するための専門職の配置に関する研究―居住権の保障の視点から―

研究課題

研究課題/領域番号 23530781
研究機関日本福祉大学

研究代表者

小松 理佐子  日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)

研究分担者 熊田 博喜  武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (30366877)
川村 岳人  健康科学大学, 健康科学部, 講師 (30460405)
後藤 広史  東洋大学, 社会学部, 助教 (60553782)
キーワード地域生活支援 / 制度の「隙き間」 / NPO / アウトリーチ
研究概要

平成24年度は、23年度に実施したNPOに対するヒアリング調査についての分析を行い、制度の「隙き間」の支援の内実を明らかにした。さらに、その分析を踏まえて、その仮説を実証するためのアンケート調査を実施した。
ヒアリング調査の分析からは、以下の点が明らかとなった。対象の団体が取り組んでいた活動の中には、スタッフが当事者の自宅に出向いていくという方法の他に、当事者の方から支援者の方に出向いていく機会を用意する取り組みがみられた。また、福祉専門職が他職種とチームで相談に応じることや、機関の間の調整役を務めることによって、「制度の隙間」を埋める働きをしている様子がみられた。さらに、当事者と専門職との間で、様々なつなぎ役をする非専門職の存在が確認できた。これらのことから、第一には、制度に基づいて設置される機関から離れたところに専門職を配置し、その専門職が、訪問という形でのアウトリーチだけではなく、当事者から支援に出向いていくようなしかけを作る活動を行いながら、ニーズ発見に取り組むことのできるシステムにすることが有効であるといえる。第二には、こうした位置に置かれた専門職が、制度に基づく専門機関や非専門職と結びつくための機会を設定することが効果的であるといえる。
また、アンケート調査票の作成にあたって次の仮説および分析枠組みを設定した。従来のNPO研究では、歴史的に住民参加型サービスを自発的に実施していた団体が、介護保険制度の導入に伴って制度に基づくサービスを提供することになったことによって、独自性が失われてきていることが指摘されてきた。今日のNPOは、従来指摘されているような団体だけでなく、多様化してきており、制度の「隙き間」を独自のサービスで埋めようとする団体も生まれてきている。NPOと行政の関係性から「補充型」「協働型」「単独型」「専門志向型」の類型が可能である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第一には、この2年間の間に、本研究会で「不定住的貧困」と設定したホームレス状態にある人々への支援を実施している国内の代表的なNPO団体をすべてヒアリングすることができた。これによって、生活保護制度の周辺に生じている制度の「隙き間」の実態の全体像を把握することができたといえる。
第二には、当初の計画では、データベースを作成することを考えていたが、ヒアリング調査に基づく事例研究および東京都内で福祉活動を行うすべてのNPOの基礎データの分析を進めるうちに、地域生活支援に取り組むNPOが多様化・拡散しており、現状ではデータベースの作成対象を限定することに限界がありることが明らかとなってきた。このような実態を把握したこと自体に、本研究の意義があったと考えている。
また、それに代わる方法として、平成24年度は、東京都内の福祉活動を行うすべてのNPOを対象にしたアンケート調査の発送までを完了することができ、集計を25年度に持ち越したもののおおむね計画どおりに実施することができている。これが、今後のデータベースを作成する際の枠組みづくりにつながると考えている。
さらに、平成24年度には、二度、学会において口頭発表を行い、研究成果を公開することができた。
以上のことから、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

平成23年度末に発送したNPO団体へのアンケート調査の集計・分析作業を行う。加えて、アンケート調査の結果を補足するためのヒアリング調査を実施する。それをもとに最終年として、研究の総括を行い、研究報告書を作成する。研究報告書をもとに平成25年度以降に出版する計画である。
NPOへのヒアリング調査については、調査票作成の際に設定した、行政との関係についての志向性の4つの類型に分けて対象を選び、役割意識や団体の運営方法について補足調査を行う。
研究報告書は、地域生活支援の方法をテーマに、①支援の方法、②サービス提供主体、③機関と人材の配置、を柱にとりまとめる計画である。

次年度の研究費の使用計画

アンケート集計を平成25年度に持ち越したため、未使用額が生じた。25年度の予算の大部分は、NPO団体を対象にしたアンケート調査の集計・分析作業のための費用にあてる計画である。また、最終年度であることから、研究報告書を執筆し、その印刷・製本費を支出する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 地域におけるニーズ発見システム-機関・人材の配置を中心に-

    • 著者名/発表者名
      小松理佐子
    • 学会等名
      日本社会福祉学会第60回秋季大会
    • 発表場所
      関西学院大学
  • [学会発表] 「不定住的貧困」に対応するための地域福祉の実践的課題(その1)-対象と対応の類型-

    • 著者名/発表者名
      後藤広史
    • 学会等名
      日本地域福祉学会第26回全国大会
    • 発表場所
      熊本学園大学
  • [学会発表] 「不定住的貧困」に対応するための地域福祉の実践的課題(その2)-地域生活支援の方法-

    • 著者名/発表者名
      川村岳人
    • 学会等名
      日本地域福祉学会第26回全国大会
    • 発表場所
      熊本学園大学

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公開日: 2014-07-24  

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