本研究では参加型アクションリサーチ(Participatory Action Research = PAR)が、文化を超えて国際・多文化ソーシャルワークの領域での調査と実践を統合した手法であることを確立するために、アジア諸国で、多様なPARの手法を用いて研究を実施することを目的とするものであった。 平成26年度は、平成23~25年度にかけて実施した、日本国内でのフォトボイスを用いて日本在住の外国につながりを持つ児童たちと協働したPAR、フィリピンにおいてPLA(participatory learning and action)などの手法を用いてフィリピン女性移住労働者の自助組織2団体と実施した2つのPARを体系的に振り返り、国際ソーシャルワークおけるPARの有効性を検証した。 この検証作業の枠組みとして活用したのが、平成25年度から26年度にかけての米国のカリフォルニア大学バークレー校での在外研究期間で学んだ、さまざまなPARを含むより体系的なアプローチであるCBPR(community-based participatory research)である。平成26年度に行ったPARの有効性の検証の成果は、著書『参加型アクションリサーチ(CBPR)の理論と実践:社会変革のための研究方法論』として刊行するとともに、「フォトボイスによるコミュニティのニーズ把握、アドボカシー活動、そしてエンパワメント」や「人権研究のための研究方法論:トランスフォーマティブな研究パラダイムに基づくCBPR」といった論文としても発表した。
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