研究課題/領域番号 |
23530791
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
今井 小の実 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20331770)
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研究分担者 |
寺本 尚美 梅花女子大学, 現代人間学部, 教授 (50299012)
アンベッケン エルスマリー 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20510150)
孫 良 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (90299355)
陳 礼美 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (40510160)
大塩 まゆみ 龍谷大学, 社会学部, 教授 (90269738)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
今年度の大きな共同研究の成果は、7月にストックホルムで開催されSocial Work Social Development 2012: Action and Impact Conferenceにおける報告と、スウェーデンの視察調査である。 学会報告は共同で行い、ポスター発表①“Caring responsibilities and the loss of pension rights in Japan” ② “Investigating the feminization process of “care” labor during the infancy of Japan’s welfare state in comparison with the West”とオーラル報告(アンベッケン、サンド先生first)Gainfully employed persons caring for aged next of kin – re-familiarization of the Swedish welfare model?“と合計3本の報告を行った。 調査の成果については10月日本社会福祉学会で「ジェンダーの視点からみた年金制度における育児期間の配慮措置について」(寺本first)で行った。また成果は、大塩「スウェーデンの近親介護者サポート」『龍谷大学社会学部紀要』第41号/「理念重視のスウェーデンの高齢者住宅」『同志社社会福祉学』第26号、今井・陳「スウェーデンにおける雇用労働と家族“ケア”労働の調和」『Human Welfare』第5巻第1号、寺本「年金制度における育児期間の配慮措置の検討」『梅花女子大学現代人間学部紀要』第9号という形で刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は共同研究の全力を7月のスウェーデンにおける学会報告と調査研究に注いだ。具体的な目標があったことから、4月から研究会や打合せを何度も行い、ポスターや補助資料を作成し、また現地での調査研究が深まるように機関や施設との連携を現地協力者のアンベッケン先生やサンド先生とお願いし、綿密な計画をたてた。その作業において、スウェーデンへの理解も深まり、日本を相対化する上での貴重な知識を入手することができた。また現地では学会報告3本、政治活動家へのインタヴュー、施設訪問やソーシャルワーカー、利用の自宅訪問など、中身の濃い調査を行うことができた。さらにそれらの成果を帰国後、整理し、学会報告やレポートあるいは論文として雑誌に掲載した。 このように研究の大きな進展があった2012年度であるが、「(2)おおむね順調に進展している」を選んだのはこの一連の活動において、当初の研究計画にあったイギリス、アメリカも国際比較にいれた研究について軌道修正を行ったからである。すなわち予想以上の成果と、また事前の準備、事後の整理を繰り返すうちに、国際比較についてはスウェーデンと日本の2国にしぼっていくという方向で行った方が、適切ではないかとの認識に至ったからである。すなわち、最終目標である、日本におけるジェンダー公平なケアの社会化を進めていくための政策提言を行うために、スウェーデンをそのモデルとしてビジョンを描いていくことの妥当性が研究者の間で確認できたからである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる次年度には、研究成果報告集を出したいと考えている。2013年度はその報告集の作成に最も大きな力を注いでいく。すなわち報告集の構成は、①日本の家族政策形成史(英米と比較して相対化)②日本の現状とその課題③課題解決に必要な理論・モデルとしてN.フレイザー”Universal Caregiver Model”の紹介、実現に近いモデルとしてスウェーデンを設定④スウェーデンの福祉国家形成史⑤スウェーデンの現状とその課題⑥日本は何を学ぶか→政策提言という流れになるが、共同で行う⑤⑥に加え、個人では今井は①③④、大塩は①②④、寺本は②、陳は②④の担当箇所を深めていき、最終的に成果報告集に掲載したいと計画している。 またスウェーデンの研究協力者アンベッケン氏とサンド氏もこの報告集に英語で論文を掲載して頂く予定である。そのため事前に協議し、日本においてシンポジウム開催の可能性も模索していき、社会的にも広く還元できるようにつとめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策でも紹介したように、2013年度は最終報告書作成に向けて、共同研究と個別研究を並行して行っていく。そのために共同研究のための会議運営費、ゲスト招へいのための費用が必要となる。また2012年度に行ったスウェーデン調査の成果を公開するためにスウェーデンの研究協力者とのシンポジウムを開催したいと考えている。したがってそのための費用も予定している。さらに3年間の研究成果報告書刊行の費用も必要である。
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