本研究は、「外国につながりのある子ども」とその保護者が小学校就学の際に抱えている課題を明らかにし、保育所を中心とした、地域における生活支援のシステムを構築するための方策を検討することを目的としたものである。平成25年度には、前年度まで行った先行研究の整理と保育所へのヒアリング・インタビュー調査の結果をまとめ、その上で、教育委員会および外国につながりのある子どもが在籍する小学校教諭を対象としたインタビュー調査を行った。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は次の通りである。 外国につながりのある子どもに関する研究や実践は、日本における学校への適応、日本語教育のあり方、保育の国際化、多文化共生を視野に入れた保育環境の構築などが主な焦点となっており、保育と教育の接続をめぐる問題や家族への支援のあり方についての研究はまだ少ないのが現状である。しかし、文献検討や外国につながりのある子どもと保護者に関わりのある保育所・子育て支援施策担当者・教育委員会・小学校へのヒアリングやインタビューを通じて、困難の原因・背景には、日本語能力のみでなく、それまでの子どもの生活・学習状況や家庭の状況、保護者の文化的背景や価値観、生活・労働の実態が大きく影響していること、それゆえに、子どもの成長や発達の連続性をふまえた長期的な支援のあり方や、保護者等家族も含めた支援のあり方を検討することが重要であることが明らかになった。また、そのことは、保育所において就学に向けた準備教育を行うためではなく、長期的な視野から子どもの権利を保障し、豊かな育ちを実現するためのものであるということを提示するとともに、具体的な場としての保育所や学校が可能な支援方法を明確にすることの重要性等を指摘した。
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