研究課題/領域番号 |
23530797
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
矢原 隆行 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (60333267)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 連携 / 協働 / ケア / ナラティヴ / リフレクティング・プロセス / アクションリサーチ / 臨床社会学 |
研究概要 |
本研究は、リフレクティング・プロセスを用いた対人援助専門職のための新たな連携と協働の技法の開発を目的とする。今年度は、当該領域に関する先行研究の整理と参加型アクションリサーチの計画のためのパイロットスタディをおこなった。1.リフレクティング・プロセスに関する先行研究の整理として、国内・国外において家族療法の分野、ソーシャルワークの分野、教育の分野、その他様々な領域に存在する研究蓄積について、とりわけリフレクティング・プロセスの活用に関して状況の先行する国外の先行研究を幅広く収集し、その文献研究をおこなった。また、関連領域の研究者との研究会を開催し、情報収集に努めた。それを踏まえ、国内におけるリフレクティング・プロセスの従来の紹介のされ方の限界や課題を明らかにし、より正確な理論的位置づけをおこなった。2.本研究プロジェクトの中軸をなす社会福祉専門職との当事者参加型アクションリサーチの詳細な手順について検討するための準備をおこなった。具体的には、上記計画の立案のため、(1)鹿児島県の高齢者福祉施設一箇所において、介護福祉専門職と看護専門職へのグループ・インタビューとリフレクティング・プロセスの実践を含むパイロットスタディを実施し、そこでの手順の妥当性や有効性を確認するとともに、より広い範囲の施設における本調査への準備を進めている。(2)また、広島県の病院を含む複数の機関に所属するメンバーからなる精神保健福祉専門職グループとリフレクティング・プロセスに関する研究会を定期的に開催し、そのなかで事例検討型のリフレクティング・プロセスを実施、記録をするとともに、そのデータの協働的な質的分析に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の整理・検討は予定通り順調に進んでいる。アクションリサーチに関しては、協働する福祉専門職やその所属機関側の事情もあるため、当初予定の地域とは異なる部分も含まれているが、そうしたことも当初計画に織り込み済みであり、臨機応変に対応できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本調査としてアクションリサーチを通したリフレクティング・プロセスの有効性の検証に取り組んでいく。具体的には、介護福祉専門職グループ、および、精神保健福祉専門職グループの各々の現場において、適切な範囲でのリフレクティング・プロセスを複数回実践し、その内容および事前・事後の状況に関するデータ収集をおこなう。また、上記のプロセスの映像、音声による記録の質的分析、参加者へのアンケートとインタビューのデータ分析を踏まえて、本技法の有効性や他の類似技法に比しての優位性について検証をおこなう。さらに、可能であれば、上記の分析を踏まえ、各現場で活用可能な実践プログラムの暫定版を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費の使用計画としては、各地でのリフレクティング・プロセス実践とその調査に取り組むための旅費、および、それに通常業務の中で研究協力していただく各専門職の方々やその所属機関に対して支払う研究協力謝金が大きな比重を占めることになる。加えて、音声・映像記録のためのメディアの消耗品費等が必要となる。
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