研究課題/領域番号 |
23530797
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
矢原 隆行 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (60333267)
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キーワード | 多職種間連携 / 多機関間連携 / リフレクティング・プロセス / リフレクティング・チーム / 臨床社会学 / アクションリサーチ / ケア / ナラティヴ |
研究概要 |
本研究は、リフレクティング・プロセスを用いた対人援助専門職のための新たな連携と協働の技法の開発を目的とする。今年度は、福祉現場におけるアクションリサーチを通したリフレクティング・プロセスの実践と有効性の検証をおこなった。 1.リフレクティング・プロセスに関する参加型アクションリサーチの実践:まず、鹿児島県下および京都府下の複数の高齢者福祉施設において、介護職・看護職間の多職種間連携における課題をテーマにグループ・インタビューとリフレクティング・プロセスの実践、さらに、実践前後におけるアンケートによる効果測定をおこなった。また、広島県下の病院を含む複数の機関に所属するメンバーからなる精神保健福祉専門職グループとリフレクティング・プロセスに関する研究会を定期的に開催し、そのなかで事例検討型のリフレクティング・プロセスを実施、記録をするとともに、そのデータの協働的な質的分析をおこない、リフレクティング・プロセス参加者の各視点からの多声的分析を踏まえた成果について学会報告をおこなった。 2.リフレクティング・プロセスの有効性の検証:上記のプロセスの映像、音声による記録の質的分析、参加者へのアンケートとインタビューのデータ分析を通して、これまでの理論的検討も踏まえつつ、本技法の有効性や他の類似技法に比しての優位性について検証を進めた。 3.上記の実践と検証を踏まえた暫定的プログラムの開発:上記の分析を踏まえ、各医療・福祉現場で活用可能な実践プログラムの暫定版開発を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクションリサーチに関しては、鹿児島県、京都府における複数の高齢者福祉施設の協力が得られたため、比較的順調に実践研究を進めることができている。精神保健福祉専門職グループとの研究会形式での実践も順調である。ただし、インタビューやリフレクティング・プロセス実践のすべてに研究代表者の参加を要するため、その頻度や日数上の制約も生じざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、可能な範囲で今年度実施しアクションリサーチと同形式での実践を補足的に新たな高齢者福祉施設で実施するなど、データの補強をおこなう。同時に、これまでに得られたインタビューおよびアンケート等のデータ分析を進める。また、類似のリフレクティング・チーム形式を用いた保健・医療・福祉領域での教育・研修が展開されている北欧の状況について視察し、有効なプログラム開発の参考とすることを計画している。以上を踏まえ、対人援助の現場で有効に活用可能なケアとサポート、連携と協働のための具体的なコミュニケーション・プログラムの暫定版を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費の使用計画としては、各地でのリフレクティング・プロセス実践とその調査に取り組むための旅費、および、それに通常業務の中で研究協力していただく各専門職の方々やその所属機関に対して支払う研究協力謝金、蓄積された音声データのテープ起こし等の謝金が一定の比重を占めるが、先に述べた北欧での現状視察と資料収集の旅費、また、最終年度として研究成果の広報のための費用も要する。
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