本研究は、リフレクティング・プロセスを用いた対人援助専門職のための新たな連携と協働の技法の開発を目的とする。今年度は、福祉現場におけるアクションリサーチを通したリフレクティング・プロセスの実践と有効性の検証に関する考察を深め、その成果の発信を国内・国外でおこなった。また、リフレクティング・プロセスの活用において先行する北欧の実践状況を調査するとともに、研究者や実践者への情報発信と研究交流に取り組んだ。具体的には、以下のような研究活動をおこなった。 1.前年度実施したリフレクティング・プロセスに関する参加型アクションリサーチの考察:全年度、鹿児島県下および京都府下の複数の高齢者福祉施設において、介護職・看護職間の多職種間連携における課題をテーマにグループ・インタビューとリフレクティング・プロセスの実践、さらに、実践前後におけるアンケートによる効果測定をおこなったが、その結果について考察を深め、学会報告をおこなった。 2.北欧におけるリフレクティング・プロセスの実践状況の調査と研究交流:リフレクティング・プロセスの活用において先行する北欧の実践状況を調査するため、デンマークの医療機関、福祉機関、シンクタンク等において聞き取り調査を行った。また、デンマークでリフレクティング・プロセス研究に取り組む研究者らとともにシンポジウムを開催し、そこでの講演において、デンマークの実践者、教育者らに対して、日本におけるリフレクティング・プロセス研究の現状を紹介した。 3.研究成果を踏まえたリフレクティング・プロセスの定式化:これまでの研究成果を踏まえ、リフレクティング・プロセスの理論的定式化を試みた。
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