本研究では、同一家庭に水俣病患者が複数存在する場合の水俣病患者家庭の調査を通して、現在、水俣病患者のために用意されている公害健康被害補償救済制度では対応できない場合が大多数であることが明らかとなった。 在宅生活を送る上での問題解決のためには介護保険や障害者総合支援法など他制度の組合せ利用が必須となるが、水俣病の差別等に起因する当事者のサービス利用抑制のために制度間の隙間がさらに大きくなっている。被害補償制度の制度設計、社会福祉サービスによる補完、種々のサービス利用に関する社会的条件等の課題について明らかにすることができた。
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