研究課題/領域番号 |
23530802
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研究機関 | 淑徳短期大学 |
研究代表者 |
三田寺 裕治 淑徳短期大学, その他部局等, 准教授 (50341889)
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キーワード | 医療経営 / 介護経営 / 複合化 / 多角化 / 経営効果 |
研究概要 |
医療機関における複合化の現状及び複合化が病院経営に与える影響を検討するため、医療法人が開設する医療機関5,682施設を対象に、郵送法による自記式質問紙調査を実施した。東日本大震災の被災地域のうち、被災可能性のある病院については調査対象から除外した。回収数は535件で回収率は9.4%である。主な調査内容は、病院単体の収支状況、同一法人内における介護老人保健施設の設置状況、同一法人内関連施設等保有状況、今後の経営戦略及びそれを実行する上での阻害要因等である。 平成23年度において医業収支が黒字(医業収益が医業費用を上回ったもの)であったのは440病院で、全体の84.1%となっている。病床規模別にみると、病床規模が大きいほど黒字である病院が多く、300床以上の病院では90.9%が黒字となっている。同一法人内に介護老人保健施設を設置している病院の割合は31.8%である。介護老人保健施設の設置による病院経営への影響についてみると、「退院患者に対する継続的なサービス提供が可能となった」が最も多く、次いで「法人全体として収益の安定化が図れるようになった」「病院本体の財務内容が改善した」と続いている。同一法人内における関連施設等の保有状況についてみると、「居宅介護支援事業」が43.6%と最も多く、次いで「通所リハビリテーション」40.8%「訪問看護」39.5%「訪問リハビリテーション」22.6%となっている。今後新たに取り組みたい事業では、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が23.9%と最も多くなっている。今後の経営戦略では、「他法人の医療機関、介護施設等との緊密な連携」が最も多く、次いで「在宅療養支援機能の強化」「医療・介護の複合型経営の推進・強化」「特定の診療分野への専門特化」の順となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に則り、医療機関を対象とした大規模な量的調査を実施した。同種の他の調査と比べると回収率がやや低いものの、医療機関における複合化の実態や複合化がもたらす経営効果について、有益な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施した量的調査において十分に解明できなかった点については、次年度にケース研究を行い補完する予定である。また、本年度は複合化がもたらす経営効果のうち、財務的効果を中心に検討を行ったが、次年度においては、財務以外の効果・影響についても検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に調査票や調査依頼文書の印刷費、通信費(切手代等)、データ入力費、旅費、謝金等に使用する予定である。
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