研究課題/領域番号 |
23530803
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
大内 善広 城西国際大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00454009)
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研究分担者 |
野澤 義隆 帝京学園短期大学, その他部局等, 助教 (20550859)
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キーワード | 育児ストレス / 保育所や保育士の取組み / 母親観 |
研究概要 |
本研究は,母親の育児ストレスの軽減に対する効果的な保育所や保育士の取組みとは何かについて明らかにするものである。 平成24年度は当初平成23年度調査結果を踏まえた質問紙調査を実施する予定であった。しかし,平成23年度調査データを詳細に分析し考察を加え議論を行った結果,母親に対して質的な調査を行うことが妥当であると判断され,研究計画を変更した。そのため,平成24年度は子育て中であり保育所を利用している母親を対象としたインタビュー調査を実施することとした。また,そのインタビュー調査の結果が妥当な知見であるかどうかを確認するために,保育所長の経験を持つ専門家にもインタビュー調査を実施した。 上記インタビュー調査より,母親の育児ストレス軽減に関する保育所や保育士の取組みとして,日常的なコミュニケーションの重要性が明らかとなった。特に,保育所長や保育士の母親観が日常的なコミュニケーションに影響している可能性が示唆され,保育所・保育士の取組みと母親の育児ストレスに関するモデルの焦点化を行うことができた。また,このモデルは,子育て中の母親と保育所長の経験を持つ専門家の両者のインタビュー調査結果で同様の知見が得られており,このモデルがある程度の頑健性を持っていることが考えられる。 その後,インタビュー調査により示唆されたモデルを踏まえて,平成25年度に実施する調査で使用する質問紙の項目案を作成し,平成25年度調査計画について議論を行った。特に保育所に対する具体的なニーズに関する地域差が大きいことに関連して,全国調査では保育所や保育士の具体的取組みの効果が検証できない可能性が危惧され,特定地域に焦点化した調査の妥当性が話し合われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画を変更し,今年度はインタビュー調査を主に実施したが,研究目的である母親の育児ストレスを軽減させる保育所や保育士の取組みに関して,具体的な知見を得ることができた。 また,スカイプ等を利用した研究代表者と研究分担者による打ち合わせや,3回実施した連携研究者も含めた会議によって,インタビュー調査結果を踏まえたモデル化を行うことができた。 そのため,本研究として残された課題は質問紙調査やアクションリサーチによるモデルの検証のみとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度調査では,インタビュー調査によって得られた知見が妥当なものであるかどうかを検証し,その知見を基に現場で取組みの改善を試みた場合の効果を検討していく。ただし,調査範囲として全国調査を行うのか特定地域に焦点化するのかについての議論が決着していないため,早急に調査範囲を決定した上で,調査を進めていく。 また,質問紙調査実施後には,研究で得られた知見を用いた取組みの改善の効果について,特定の保育所において調査を行う。 最後に,研究結果について,質問紙調査において協力が得られた保育所等に対して報告書を作成しフィードバックしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では,当初予定していた質問紙調査を行っていないため,当該年度で使用した研究費は計画時点よりも少なくなった。未使用の研究費については,その多くが平成25年度調査で使用される予定である。
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