研究課題/領域番号 |
23530808
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
岩切 一幸 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 有害性評価研究グループ, 主任研究員 (10316135)
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研究分担者 |
高橋 正也 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 作業条件適応研究グループ, 上席研究員 (70332400)
外山 みどり 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 人間工学・リスク管理研究グループ, 上席研究員 (30332399)
劉 欣欣 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 有害性評価研究グループ, 研究員 (10582570)
甲田 茂樹 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 部長 (50205332)
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キーワード | 介護 / 安全衛生 / リスク評価 / 腰痛 / 高齢者 / 福祉 |
研究概要 |
本研究は、介護労働者(介護者)の安全衛生活動と健康状態などをインタビュー及びアンケートにて調査し、安全衛生管理と介護者の作業負担や満足度などとの関連を明らかにするとともに、働きやすい職場作りに必要な安全衛生活動を見いだし、総合的な安全衛生管理を実施するためのチェックリスト形式の評価票を作成することを目的としている。 研究期間は3年とし、初年度の平成23年度は、高齢者介護施設2施設の施設管理者と介護者に対し、アンケート調査項目と改善対策案を探るためのインタビュー調査を実施した。インタビューでは、施設管理者に対して施設の安全衛生活動、離職者・休業者数、介護者の健康状態、要介護者の状態、介護福祉機器の有無、研修会・講習会の有無などを調査した。また、介護者に対しては、安全衛生活動、作業負担、作業満足度、健康状態、介護福祉機器の利用状況、コミュニケーションの程度、要望などを調査した。 平成24年度は、インタビュー結果をもとに、施設用と介護者用のアンケート調査票を作成した。施設用のアンケート調査項目は、介護者数や利用者数などの基本情報に加え、介護福祉機器数、健康診断、腰痛検診、衛生委員会、産業医、衛生管理者又は衛生推進者、介助方法や介護福祉機器に関する講習・研修の有無、試験制度、定期的な評価の有無などとした。また、介護者用のアンケート調査項目は、性別や年齢などの基本情報に加え、介護者が職場で実際に取り組んでいる安全衛生活動、移乗介助動作、入浴介助動作、腰・首肩腕の痛みの状態、事故やヒヤリ・ハット、精神的ストレスの状態などとした。調査対象は、高齢者介護施設8施設とそれらに勤務する介護者全員(404名)とした。現在、平成24年2月から平成25年4月にかけてアンケート調査を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に予定したアンケート調査は、平成24年度に実施した。これは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、調査を予定していた介護施設から協力が得られなくなったことと、震災後の特別な心理・身体状態において調査を実施しても、その影響が調査に現われる可能性が考えられたためである。調査対象は、当初、介護施設約40施設と各施設約10名の介護者とする予定であったが、施設から調査協力が得られにくくなったため、介護施設8施設と各施設約50名(施設の介護職全員)の介護者に変更し、各施設の現状を詳しく調べることにした。介護者の総数は、400名と変更はない。平成24年度には、アンケート調査結果を分析し、介護者の作業負担を軽減して作業満足度を向上させる安全衛生活動を抽出し、活動実施の優先度を決め、チェックリスト形式の評価票と改善策案を作成する予定であった。しかし、震災の影響で研究計画全体がずれ込んでいるため、評価票と改善策案の提案は、平成25年度に実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度は、4月にアンケート調査が終了するため、早急にデータを解析し、作業負担を軽減して作業満足度を向上させるのに効果的な安全衛生活動を抽出し、活動実施の優先度を決める。この優先度は、職場改善に有効な安全衛生活動ほど高く設定する。例えば、安全衛生に関する研修会や講習会に参加している者ほど負担が少なく、満足度の高い作業を行っていれば、その研修会・講習会は優先度の高い安全衛生活動とする。これらの過程をもとに、安全衛生管理を実施するためのチェックリスト形式の評価票と改善策案を作成する。さらに、作成した評価票と改善策案を検証するために、安全衛生活動の不十分な施設を選定し、介入研究を実施する。本来このような効果の検証には、非介入群と介入群を設定して比較検討する必要があるが、今回は便宜的に介入群だけとする。評価票と改善策案の介入前後には、インタビュー及びアンケート調査を実施する。調査の結果、改善効果が得られれば、評価票及び改善策案は確定とする。しかし、効果が得られなければ、その要因を再度調査して内容を改定し、再検証する。最終的には、これらを繰り返すことで、評価票と改善対策を確定していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、4月に終了するアンケート調査の業務委託費(調査票作成、配布・回収、データ入力)の支払いが必要となる。また、介入効果を検証するためのアンケート調査を1~2施設に対して実施するため、調査票作成費、配布・回収費、回答者への謝金、回収した文書データの入力作業費などが必要となる。さらには、調査対象先との打ち合わせ及びインタビュー調査のための調査研究旅費などが必要と考えている。
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