研究課題/領域番号 |
23530809
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
今在 慶一朗 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40359500)
|
キーワード | procedural justice |
研究概要 |
前年度にまとめた手続き的公正研究に関する過去の知見から、決定を任された権威者との相互作用における丁寧さと、権威者による説明の詳しさに着目し、裁判を模した場面における手続き的公正感や決定に対する妥当性評価の実験室実験を行った。 実験では、実験室内に簡易ブースを設置し、その中にパーソナルコンピュータを配置した。パーソナルコンピュータは、実験者が作成した実験プログラムによって、自動的に刺激映像と文字メッセージが表示されるようになっていた。実験参加者は、情状に酌量の余地があると思われる放火事件の犯人に関する映像を見た後で、裁判員役の人物に対して犯人の弁護をするように求められた。裁判員役の人物は相互作用の丁寧さ(敬語/平語)と説明の詳しさ(詳細/簡易)の2要因4水準の条件のいずれかで反応するが、その内容は条件ごとに全て同じものであった。なお、実験参加者は裁判員役の人物がコンピュータ・プログラムによるものであるとは知らされていなかった。 各条件につき11名の実験参加者で実験を行ったところ、詳細な説明が相手の主張の内容をわかりやすいと感じさせ、相手が適切な決定を下そうとしていたという印象を与えるものの、結果に対する納得は敬語の使用によって促進されていた。これは、決定を任された人物の論理性よりも、決定の内容とは直接関係がない丁寧な対応によって、人々が影響を受け易いことを示唆している。 ただし、統計的に有意とされる5%水準には達してはいなかったものの、他にも条件間で差が見られる変数があり、その中には統計的に有意とされる水準にわずかに届かなかったものもあることから、本研究結果は暫定的なものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験設備を整え、当初の目標である実験を行い、分析を行うことができたことから、平成24年度の目標はおおむね達成されたといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
実験参加者の人数を増やすことによって、分析結果が現在のものよりも明確になったり、安定したりする可能性があると考えられることから、引き続き実験参加者を募り、サンプル数を増やした上で再度分析を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を暫定的にまとめ、学会の大会等の場で発表し、他の研究者からの指摘やアドバイスを得て、研究成果を論文としてまとめる際の参考とする予定である。
|