研究課題/領域番号 |
23530814
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小笠原 盛浩 関西大学, 社会学部, 准教授 (00511958)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ソーシャルフィルタリング / ソーシャッルメディア / マスメディア / 情報行動 |
研究概要 |
研究実施計画のとおり、平成23年度はソーシャルフィルタリングを先進的に実践している層の利用行動・利用の経緯、今後の展望等の定性データを把握するため、有名ブロガー計6名への半構造化インタビューと先進的インターネット利用者へのグループインタビューを計13名(4名×2グループ、5名×1グループ)を実施した。 同調査により、先進的インターネット利用者の間で、ソーシャルフィルタリングに関する以下の利用傾向が示唆された。 (1)先進的ユーザー・一般ユーザーともに主流マスメディアとソーシャルメディアを併用して情報源として活用している、(2)自らの仕事等に関連性の高い情報はソーシャルメディアで、社会全般の動向把握にはマスメディアで収集する形で使い分けを行っており、ソーシャルメディアのみを情報収集に利用しているユーザーは少数派である、(3)しかしながら、情報源に占めるマスメディアの比重は低下傾向にあり、対照的にソーシャルメディアを利用した情報収集行動が仕事や生活の広い範囲で浸透しつつある。ソーシャフィルタリングの今後の展望については、有名ブロガーの約半数が人々が自分の関心事の範囲内に閉じこもるタコツボ化・社会の分断化に懸念を表明していた。 平成23年度以降の定量的調査の実施・分析では、これらの定性的な知見を反映させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、SNSやTwitter等で友人の推薦を利用してインターネット上の情報を取捨選択する「ソーシャルフィルタリング」の利用実態およびその影響について定性的・定量的な調査・分析を行い、ソーシャルフィルタリング利用・影響の規定要因ならびに、今後懸念される情報環境の偏りや情報格差への影響を明らかにすることである。 研究実施計画では平成23年度を定性的調査実施の時期と位置づけており、有名ブロガー5名へのインタビュー実施と先進的インターネット利用者12名へのグループインタビュー実施を予定していた。 平成23年度末現在の研究進捗状況は、有名ブロガー6名への半構造化インタビュー、ならびに先進的インターネット利用者(SNSのFacebookとTwitter双方を利用している人と操作的に定義した)13名へのグループインタビューを完了しており、定性データの蓄積が計画以上に進展していることから、達成度は順調に推移していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は平成23年度に実施した有名ブロガーインタビュー・先進的インターネット利用者グループインタビューで得た定性データを参考に、定量調査を実施する。 同調査の目的は一般的なインターネット利用者のソーシャルフィルタリング利用実態とその影響についての定量データを収集・分析することであり、インーネット利用者を対象とし、SNSやTwitterの利用の有無などのサンプルの抽出条件を設定する必要があることから、オンラインアンケート調査によるデータ収集を選択する。 平成25年度は平成23年度・24年度の定性的・定量的調査の分析結果を報告書にまとめて印刷して(100部程度)、関係領域の研究者・企業等に配布するとともに報告書のPDFをウェブで公開する。また、研究で得られた知見を研究論文として国内外のジャーナルに投稿し、学術論文の刊行を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は平成23年度の定性調査から得た知見を参考に、オンラインアンケート調査を実施する。同調査では、インターネット調査会社のモニターから、より一般的なインターネット利用者のサンプルを対象としてソーシャルフィルタリング利用の有無・利用頻度、利用の影響、メディア信頼性、社会ネットワークの規模・同質性等をたずねる予定である。 一般にオンライン調査会社のモニターはインターネットのヘビーユーザーが多い傾向があるため、できる限り人口分布に近いモニターを持つ調査会社を選定することで、サンプルの偏り回避に努めることとする(そのため通常のオンライン調査費用と比較するとサンプリング費用がやや割高となる)。 オンラインアンケート調査で得られた定量データは、ソーシャルフィルタリングの利用・影響に関する仮説・モデルの検証に使用する。
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