研究課題
本年度は、次の2つの研究を行った。(1)大学生を対象とした、寛容性とその心理的・社会的なメリットの因果関係、(2)幼児を対象とした、本人と異なる意見を持つ「異質な他者」に対する「相対主義」の理解と寛容な態度の関係である。(1)について、大学生に対しパネル調査を実施し、寛容性尺度得点と、本人の認知する援助者数、生活満足度の関係を検討した。その結果、予想していた因果関係とは逆の関係が有意となり、本人の認知する援助者数の多さが寛容性を高めていた。調査対象者数がやや少ないので、2013年度追加調査を行い、結果の安定性を確認する予定である。(2)について、幼児期の子どもを対象に実験を行い、自分と異なる意見を持つ他者に対する寛容性を「遊びに誘われたときの態度」から測定し、あわせて「自分と異なる意見」自体の理解、心の理論課題を実施した。心の理論と異質な意見の理解にささえられて,寛容な態度が示されることが示唆されたが、異質な意見の領域によって結果が異なっていた。
2: おおむね順調に進展している
大学生対象のパネル調査の結果の安定性が求められる。また、教育効果の検討のための文献調査が不十分であるので、2013年度に精力的にすすめていく予定である。
本年度は次の2つの調査と実験を予定している。(1)大学生を対象としたパネル調査、(2)大学生を対象とした文脈を考慮した寛容性判断のメカニズムの検討である。(1)については、2012年度と同じ質問用紙を用いて、調査対象者数を拡大し実施する。(2)については、寛容性の発達の方向性を単純に「高い」「低い」ことから検討することができないため、文脈に応じて適切に判断するかどうかから探る必要がある。そこで、集団の目的や特徴によりどのように集団排除の判断が異なるのかについての実験を実施し、そのメカニズム解明をめざす。
該当なし
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