研究課題
ミス・コミュニケーションに関して,透明性錯覚との関連を念頭において,基礎的,応用的両側面から実証的研究を行った.以下,本年度の概要を述べる.基礎的側面に関しては,ミス・コミュニケーションの発生状況について本年度も調査を行い,昨年度の結果と比較しつつその実態の解明を目指した.とくに対人配慮に関するミス・コミュニケーションを検討するために,「~がしていただく」という形式が誤用とされるにも関わらず使用される背景について調査研究を行い,またこうした「誤用」の用例を収集した.また,他者の内心表現について,どのような状況ではそこに踏み込んだ直接的表現が誤解なく使用されるかについても,実験計画を踏まえた調査的研究を行い,語用論的に考察した.これらの使い分けがコミュニケーションの当事者間で齟齬があるときには感情の行き違いを生む可能性があり,それについてさらに考察を勧めていく必要性が示唆された.応用的側面については,クライシス・コミュニケーションを念頭において,誤解を生ずるおそれのある言語的諸表現を,事例を分析することにより検討し,透明性錯覚との関連をについても論じた.また,前年に実施したインターネット調査の結果を分析し,リスクの確率の言語表現について検討を行った.また,科学に対する見方や価値観と確率表現の受け取り方についても分析を行った.これまでに行ったクライシス・コミュニケーションについての最近の文献研究および調査結果をまとめをすすめた.特に,近年の事例について成功例失敗例などの分析を行った.以上を踏まえて,一般的な対人コミュニケーション,またクライシス・コミュニケーションの中でのミス・コミュニケーションを防ぐ方法,よりよいコミュニケーションのあり方について検討を進めている.書籍としての出版も準備中である.
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愛知学院大学心身科学研究所紀要 心身科学
巻: 6 ページ: 9-13
愛知学院大学論叢 心身科学部紀要
巻: 9 ページ: 25-29
Risk Analysis
巻: 33 ページ: 1788-1801
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