研究課題/領域番号 |
23530836
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山崎 優子 立命館大学, 立命館大学グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (20507149)
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研究分担者 |
石崎 千景 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 特任講師 (00435968)
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キーワード | 死刑制度 / 裁判員裁判 / 因子分析 / 権威主義傾向 / 模擬裁判 |
研究概要 |
23年度は、市民が死刑の賛否をどのような観点からとらえているかを明らかにする目的で、質問紙法による調査(研究1)とディベートによるデータ収集(研究2)を行った。その結果、死刑賛否の理由として、2009年の内閣府調査で取り上げられた13項目以外に、「死刑を希望して犯罪を行うものがいる」、「死刑は犯罪抑止力をもたない」、「死刑執行側や判断側の負担がある」が抽出された。 24年度は、23年度の研究をふまえ、死刑賛否の認識に影響を及ぼす要因を明らかし、これらの要因に、性格特性(たとえば、権威主義傾向)、死刑制度に関する知識等が、どのように影響を及ぼすかについて検討した(研究3)。また、裁判員裁判で死刑判決が下された事案に対する量刑判断を求める模擬裁判実験を実施した(研究4)。その結果、死刑賛否の認識に影響を及ぼす要因として、3つの因子の存在が示された。また、裁判での死刑か否かの量刑判断に至る心的モデルは、死刑賛否の判断に至る心的モデルとは必ずしも一致しないことが示された。 25年度は、死刑に関連する正しい知識(たとえば、無期懲役囚の出所年数)を教示することが、死刑賛否の心的モデルにどのように影響するかを明らかにするために、質問紙調査(研究5)と質問紙及びディベートによる調査を行った(研究6)。その結果、死刑賛否の認識に影響を及ぼす要因は、知識教示前と知識教示後で異なることが示された。知識教示前は、死刑賛否の認識に影響を及ぼす3つの因子の存在が示されたが(それぞれ「現実的理由による死刑回避」因子、「博愛主義」因子、「厳罰主義」因子と命名)、正しい知識を教示し、それら知識の重要性についてディベートを行った後には、死刑賛否の認識に影響を及ぼす4つの因子の存在が示された(3つの因子は上記3つの因子と同様に命名し、第4因子を「生涯にわたる贖罪要求」因子と命名)。
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