研究実績の概要 |
本研究は、現代中国の若者のリスク認知を、中国国内における経済先進地域と経済後進地域の比較に焦点を当てて調査・分析することを目的としている。 当初の予定では、平成24年度に中国の経済先進地域と経済後進地域にある複数の大学の学生を対象に質問紙調査を実施することとしていた。しかしながら、平成24年度には尖閣諸島の領有権問題が先鋭化し中国国内における対日感情が悪化したことから、研究協力者である南京大学Zhai教授より調査の実施を遅らせることが提案された。そこで、平成25年度に中国7地域10大学で調査を実施し1,747名から有効回答を得た。併せて、参考として比較のために、同等の調査を日本の4大学の学生を対象に実施し、418名から有効回答を得た。 平成26年度には、この調査データを分析・検討して論文を作成し投稿した。 「Comparative research on NIMBY risk acceptability between Chinese and Japanese college students.」と題する論文を、Environmental Monitoring and Assessment(vol. 186, No. 10: 6683-6694)に投稿し掲載された。この論文は、NIMBY(総論としてリスク受容に賛成だが、自分が不利益になる各論としてのリスク受容は拒否すること)について中国と日本の学生の相違について論じたものである。 「Regional Differences in Risk Perception in Chinese Youth」と題する論文を、心理学関係の国際誌に投稿し、現在審査中である。この論文は、中国の大学生の出身地が経済先進地域であるか経済後進地域であるかが、リスク認知に影響していることを論じたものである。
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